学生王者・泉風雅、5年ぶりステージで復活の第一歩。「もうボディビルはやらないかと思っていた」




「(早大の)同期の長瀬(嘉剛)が東京選手権に出ると言うので、じゃあ一緒に出ようかなという話になったんですよ。で、僕がJBBF(日本ボディビル・フィットネス連盟)に選手登録したら、彼はガンプラにハマってしまって……」と、大会後にケラケラと笑いながら話す姿を見ると、「帰ってきたな」という懐かしさを感じざるを得ない。

【フォト】5年ぶりのステージでインパクトあるボディを披露する泉

6/24(土)、東京・赤羽会館にて開催された「第37回東京クラス別ボディビル選手権大会」。事前に公表された選手リストの中にその名前を見つけたとき、喜びを感じた人もいたのではないだろうか。

泉風雅、25歳。

早稲田大学2年生時の2017年、「全日本学生ボディビル選手権」で優勝。ボディビル界の将来を担う存在が誕生したかと思われたが、翌年2018年は、怪物ルーキー・相澤隼人(当時日本体育大学1年)に敗れて2位。その座を奪われることに。同年10月の「日本ジュニアボディビル選手権」では頂点に立ち、若手No.1の称号を手に入れたが、それ以降彼がステージに立つことはなかった。

4年生時の2019年夏に、VITUP!では早大バーベルクラブのメンバーにインタビューを実施している。「打倒・相澤隼人」への思いを聞くべく、当然彼にも声を掛けた。ただ、今だから言えるが、そのときの彼の雰囲気はまさに“負のオーラ”が全開。周囲からの期待が重くのしかかる中での前年の闘い、そして完敗により打ちひしがれていたのは明らかで、口では「今年は学生選手権に絞ってがんばる」とは言っていたものの、予感は的中。ひっそりと大学ボディビル界から去ることになった。

「大学を卒業してからはコロナの期間になったので、トレーニングもそれまでの半分くらいしかやってなくて。週に2、3回、エクササイズ程度にやるだけ。東京クラス別に出ると決めて、4月になってやっとエンジンがかかって今日を迎えた感じです。あの期間は、もうボディビルはやらないんじゃないかって思ってましたよ」

結局、彼を誘った長瀬は選手登録をすることもなく一人で復活を目指すことに。5年ぶりのステージとなった「東京クラス別選手権」では、準備時間の短さ故、当時ほどの仕上がりに到底届いていないのは明らかだったが、それでも彼の特長の一つである巨大な上半身のインパクトは存在感抜群。結果として75kg以下級で3位ではあったが、上々の成果と言えるだろう。

「さすがに5年間もステージに立っていなかったのでボディビルで求められている水準がわからなくなっていたのですが、久々にステージに立って、自分の感覚とのすり合わせができたんじゃないかなと思います。次は、東京ボディビル選手権に出場します。1か月弱あるので、まずはちゃんと絞ること。あとはポージング練習はかなりサボってしまっていたので、しっかりやっていきたいです」

彼らしい笑顔が戻り、大会後のホールでは学生時代のライバルである相澤、五味原領(日体大卒。泉と同期)、そして横川尚隆と談笑するシーンも。そこでまた刺激を受けたのかもしれない。

「来年以降のことはまだ考えていないですが、期間をとってまたバルクアップしたい」

最後にそう力強く語った泉。復活の一歩目を踏み出した彼の今後に期待したい。

【五味原領Twitter(@workreiout)より】

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