7月30日、さいたまスーパーアリーナで開催された『超RIZIN2』にて、およそ3年半ぶりに日本で試合をして、ヴィタ・アルテイガ選手に判定3-0で勝つことができました。まずはたくさんの応援をいただいた皆様に改めてお礼を言いたいです。ありがとうございました。
今回は久しぶりの日本での試合ということもあって、取材本数がいつもよりも多く、最近の試合とは違うなと感じていました。自分としてもせっかくの日本での試合だから、できる限り盛り上げたかったので、受けられる取材は全部お受けしました。
戦前は「圧倒して勝つ」と発言していましたが、実際はきつい試合になるだろうなと思っていました。対戦相手は強い選手であり、ファイトスタイル的には相性が悪いと感じていたからです。これまでのキャリアで一本を取られたことがなく、カットによるTKO以外でのKO負けもありません。柔術黒帯の寝技の強さがあり、スタンドでは前にガンガン出てくるタフなファイターなので、判定になることも予想できていました。
ただ、大会を盛り上げたかったので、「きつい試合になると思う」と言うより、「圧倒する」と言って期待してもらいたかったし、自分の気持ちを盛り上げるためにも、あえてそういう発言をさせてもらいました。
RIZINとはルールも判定基準も違うため、日頃、RIZINルールを見慣れていると、判定に違和感を持った人もいるかもしれません。実際、批判的な声も聞こえてきました。そうした声以上に、たくさんのお祝いや激励の声が届きましたし、応援に来てくれた友達からは「試合を見て感動して私も頑張ろうと思った」「試合から勇気をもらった」と言ってもらえて、それだけでも勝って良かったなと思えました。やはり、勝つのと負けるのとでは、応援してくれた人たちに与えられる影響も違うんだなと改めて感じました。
前回のハワイの試合では「内容は勝っていた」と言われても、結果は負けなので記録には負けとしか残りません。だから結果がすべてだと思ってやってきて、今回は勝ったのに、内容がダメだと落ち込んでいたら、ジムの上田代表に「負けたときは結果がすべてと言ってたのに、勝ったら結果よりも内容がダメだって落ち込むのはネガティブすぎるだろう」と言われました(笑)。たしかにおっしゃる通りです。また、実家に帰ったときには、お母さんもすごく喜んで労ってくれたので、自分に「お疲れ様」と言ってあげようかなという気持ちになりました。
いずれにしても結果を出すことは大事です。今回の勝利を受けてベラトール代表のスコット・コーカーも「次はタイトルマッチの可能性が高い」と言ってくれていますし、ベルトへの挑戦が見えてきた気がします。10月にカムーシュとマクファーレンのタイトルマッチがあるため、自分の挑戦は早くても年明けかなと思っています。
自分は激闘型なので、試合の後はケガが絶えません。今回も終わった後は顔が痛い、首がムチ打ちみたいに痛い……と全身が痛かったです。そして気づいたら指が曲がっていました(笑)。
病院に行っていないので骨折しているかどうかはわかりませんが、そのうち治ります(笑)。鼻も痛くて折れている説がありますけど、これもそのうち治ります(笑)。試合が続くと、ケガが治り切る前に試合の準備に入っていかなければいけません。その点、次の試合までは少し時間が空きそうなので、ケガを全部治して、フルに追い込んで試合を迎えたいと思います。
過去2回、「ここで勝ったらタイトルマッチ」という試合で負けていて、チャンスを逃していました。今回はどんな形であれ、勝利という結果を出したので、あとは決定を待ちたいと思います。読者の皆様もタイトルマッチができるようにお祈りしてください(笑)。
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渡辺華奈(わたなべ・かな)
1988年8月21日、東京都出身。7歳から柔道を始め、高校ではインターハイ2位、アジアジュニア優勝などの実績を残し、東海大進学後、1年時に全日本ジュニア優勝を飾る。卒業後、JR東日本へ入社し、オリンピックを目指して競技を続けた。2017年に同社を退社し、格闘家に転身。同年12月3日にデビューを勝利で飾ると29日にはRIZIN初参戦で実力者杉山しずかに勝利。2021年よりアメリカ格闘技団体「ベラトール」に参戦している。所属はFIGHTER’S FLOW