大会中、舞台にカメラを向けていると、その表情に惹かれる選手に少なからず出会う。圧倒的な目力で舞台下の審査員を支配しようするその姿に惹き込まれてしまうのだ。大会に臨むまでの過酷なトレーニングと減量をくぐり抜けてきた自負が、その目力の源泉だろう。
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そういう選手の中でも、ひときわ「ドヤ顔」が印象に残ったのが、複数の種目にエントリーする選手が多い中、SUMMER STYLE AWARD東海帝王予選(9月10日開催)のSPORTS MODEL部門1本で勝負し、tallクラスで見事優勝した西岡憲成だ。その「ドヤ顔」について大会後尋ねると、我が意を得たりと返してくれた。
「それが一番の目的でしたから。一番目立ってやろうと」
そうか、あの目力は意識していたからなのか、と理解した私に彼はさらにかぶせてきた。「自信があったからこそですよ。自分でも仕上げてきた感触があったんで(あの表情が)出てきたというのもあります」
調整期間は5か月。増量期も5か月取っていたので20キロの大減量をクリアして今大会に臨み、見事タイトルを獲った。トレーニングの道に入って3年。それまではホストをしていたという。
「中学では野球をしてたんですけど、そんなに上手くはなかったです(笑)。というより道がそれちゃって続かなかったってパターンです」
その後は「やんちゃ」路線まっしぐら。気が付けば夜の世界の住民になっていた。
「父親がそういうタイプだったので『強い男』にあこがれました。でも、格闘技はしなかった。顔には自信があったんで、殴られてブサイクになるのはごめんでしたから(笑)」
そのルックスを生かしてホストの世界では売れた。しかし、毎日のように焼酎のボトルを6本空ける生活。毎日が二日酔いという生活が体にいいわけがなく、気が付けはもともと細身だったからだはまさにガリガリになっていた。
「25歳くらいで考えるようになったんです。『この生活ってかっこいいのかな。これじゃ家族を守れない』って」
本当の「強い男」はどんなものかに気付いた西岡。昼間の仕事で輝いている人を見て、その世界で生きていこうと決心したのは27歳の時だった。ホストを引退し、次の人生を模索している時に出会ったのがトレーニングだった。
「母親がパーソナルジムに通っていて、有名なトレーナーさんについていたんです。それが 気になってトレーニングを始めました」
今、西岡はそのパーソナルトレーナーを生業としている。仕事の合間に自分磨きができるこの職は天職である。ホスト時代よりは稼げないが、それは気にはならないし、ホスト時代も自分の人生の中で必要だったと思っている。
「ホスト経験はボディコンテストでも役立ってると思います。ルックスは審査には関係ないらしいですが、声援が多いと審査員の目は自分に向きやすいですからね」
最後に「人生楽しいですよ」と言いながらドヤ顔を見せてくれた。
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