10/29(日)に愛知・尾張旭市文化会館にて開催された「JURASSIC CUP(ジュラシックカップ) Produce by 合戸孝二&木澤大祐」。その最高峰クラス「グランドクラス」に、最年少の20歳で出場したのが坂本陽斗だ。
2021年の高校生ボディビル選手権で圧倒的優勝をはたし、そのまま同日のジュニア選手権(23歳以下の日本一決戦)では準優勝。高校卒業後は日本体育大学に入学し、名門・バーベルクラブに加入。顧問のバズーカ岡田も「こんな18歳見たことがない。世界を狙える逸材」と称した男はメディアの注目も集め、夢のボディビル日本一に向けて順風満帆な人生を歩んでいた。
【フォト】帰ってきた怪物。思い出のフリーポーズで会場を沸かせた坂本
ところが昨年は、東京クラス別選手権75kg超級で優勝し幸先の良いスタートを切ったものの、その後は新型コロナウイルス感染などでコンディションが整わず、ジュニア選手権も70kg超級で5位と不発。年末のゴールドジムジャパンカップ2022では復調した姿を見せたものの、今年も想像を超えるような仕上がりには至らずに初の予選落ちも経験するなど、苦戦を強いられてきた。
そんな自身に対して、大会公式YouTubeで公開されたインタビューでは「いろいろなメディアに出させていただいていたけど、葛藤があった。ボディビル日本一を獲りたいだけだったのに、『なぜ自分はバラエティに出ているんだ』と。食事・睡眠・筋トレに集中できる状態に戻したかった。それができていなかったから、競技実績が下がるのは当然」と語っていた。
さらにそこから「筋トレが嫌いになった」とのことで、トレーニングをしない時期が約1か月もあり、「元気な姿を演じることに疲れていた」と正直に話している。
そうした苦難のシーズンの最後の舞台として出場を決めたこのジュラシックカップだったが、彼がステージに登場すると、巻き起こったのは大きな歓声だった。ファーストインパクトは高校制覇を達成したときのような“怪物感”をまとっていた印象であり、「あの坂本陽斗が戻ってきた」と感じたファンも多いのではないだろうか。
さらに1分間のフリーポーズでは、高校生No.1獲得時と同じ、Marnik&Danko「Hymn(Till My Kingdom Comes)」をBGMにチョイス。「感動させるフリーポーズをとりたいと思っていました。それはいったい何だろう……と考えたときに、思い出深いもの、やっぱりチャンピオンをとったときのものだろうと決めました」と教えてくれた。
大会の結果こそ12位に終わったものの、良い意味で悔しさはなし。「目標は自分に勝つこと。素晴らしい選手たちと並べるだけで大丈夫」と事前に語っており、それは十分にはたせたであろう。
「競技者としての坂本陽斗を、この大会ではふたたび見せることができたのかなと思っています」
バックステージで霧が晴れたような表情を見せた坂本。迷える怪物は、もうそこにはいない。
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