五味原領が繰り上げで世界一に IFBB世界選手権でドーピング違反発覚




IFBB(国際ボディビルディング・フィットネス連盟)は31日、昨年10~11月にかけて開催された「IFBB世界フィットネス&ボディビル選手権2023」におけるドーピング検査の結果を公表。クラシックボディビル168cm以下級1位となっていたアフマドレザ・アブドルアハリ(イラン)がアンチ・ドーピング規則違反により失格となったため、同階級2位となっていた日本代表・五味原領の順位が繰り上がり優勝となった。

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五味原は日本体育大学在籍時代にトレーニングをはじめ、卒業後は2021年、2023年の日本クラシックフィジーク選手権で日本一に。“歩くギリシャ彫刻”と称される筋肉美が持ち味のビルダーであり、競技歴6年目で世界一に輝くこととなった。

IFBBの発表を受け、日体大時代からの師であるバズーカ岡田のYouTubeチャンネルに登場した五味原は、「世界選手権での優勝を目指してやってきたので、こういう形で叶ったのはうれしいですが、複雑な思いです。陽性者がいて自分が繰り上げ優勝になったという状況を、事実としてそのまま受け止めている」とコメント。

彼の属するJBBF(日本ボディビル・フィットネス連盟)においては1月に、1名のアンチドーピング規則違反者を公表、さらに昨年に連盟独自で実施した簡易ドーピング検査の結果、8件の違反疑いがあったことを公表したばかり。それもあり、SNSを中心にトレーニーの間でドーピング問題が過熱中。そういう中で五味原も「自分は自分のことをやることだけだと思っていたけど、まさか自分が一番の当事者になるなんて」と驚きを隠せないようであった。

ある意味「被害者」と言える立場にはなってしまったが、その一方で「本当は1位になれたものが表彰式では2位だったという、今後そういう思いをするような人を出さないような流れになっているのは良いこと」とも話しており、「違反者の公表によりJBBFに対して絶望している人が多いように見えるけど、それは違うと言いたい。陽性者を出してしまう可能性がある中で、これだけの自浄作用をつくろうとしている団体は他にない。そこははき違えないようにしてほしい」と思いを伝えた。

現時点で2024年シーズンに関しては、国際大会出場を中心に考え、派遣選手として選考対象となる大会への出場を考えているとのことだ。

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