「100パーじゃなく常に120パー」限界超え筋トレの心得は“兄”宇佐美一歩から【関西の若虎・本多虎之介#3】




近年では相澤隼人や五味原領といったトップビルダーを輩出した日本体育大学を筆頭に、学生ボディビル(学ボ)界では関東勢が上位を争うことが多い。しかしながら、2021年、2022年は宇佐美一歩(当時阪南大学)が連覇を果たしたように、関西にも見逃せない選手は多数おり、2024年、その中心となるのが大阪学院大学4年の本多虎之介だ。今回は、兄と慕う宇佐美とのエピソードなどを聞いた。
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【動画】本多虎之介の限界超え腕トレ&背中トレ

フリーポーズは迫力重視

――関西出身の宇佐美一歩選手は容姿や雰囲気が似ていることもあり、学ボ界では“兄弟”と称されることもあります。最初に出会ったのは?
「一歩君とは、SNSのメッセージでやりとりすることはあったのですが、最初に実際に会ったのは自分が大学 1回生のとき(2021年)の全日本学生ボディビル選手権でした。同じ大阪出身ということもあり、そこで『今度一緒に合トレ(合同トレーニング)しよう』とお誘いを受けて、仲良くなっていきました」

――2学年年上の宇佐美選手は、学生連覇、昨年の日本ジュニア選手権のクラス優勝と、関西の若手を牽引する存在。彼から学ぶことも多いのでは?
「その通りですね。具体的なトレーニングメニューの話とかをすることも多いですけど、一歩君は一つ先のトレーニングをしていて。言うたら、高重量・高回数でぶん回すようなめちゃくちゃなトレーニングをしていたりもして、合トレした次の日はめちゃくちゃ筋肉痛になったりするんです。『みんなと同じトレーニングをしていたらあかん』と教えられ、そこから自分も人並み以上に自分を追い込むようになりました」

――昨年に彼を追ったドキュメンタリー番組が放送されましたが、まさに孤高の存在というか。
「自分の限界を超えるトレーニングを毎回やってると言ってましたね。やっぱりそれくらいやらんと、自分より上の人には勝たれへんなって。同じトレーニングをしていたら成長速度は一緒なので、毎回のトレーニングを、重量にも回数にもこだわって、100パーセントじゃなくて120パーセント出し切るように意識しています」

――筋トレは一人でやる人も多いと思いますが、誰かと一緒にやることで、意識も変わりますね。
「もちろん一歩君以外とも合トレすることはありますが、人によってさまざまなトレーニング方法とかあるのでめちゃくちゃ勉強になりますし、知れば知るほど、トレーニングとかボディビルって奥が深いなって思わされます。どれだけやっても、飽きがこない感じですね」

――トレーニングのみならず、ボディビルダーとして、“魅せる”部分にもこだわりはあると思いますがいかがでしょうか。
「そうですね、やはり存在感をしっかり出して審査員の方にアピールするのは意識しています。例えばフリーポーズでは、穏やか系もいいとは思うんですけど、迫力のあるポーズが自分も好きなので。我流ですが、見ている人の印象に残るような迫力あるフリーポーズを心掛けています」

――フリーポーズの構成はどのように?
「まず、自分が今まで聞いていた曲の中で音ハメがしやすい曲を選んでいって、そこから、脳内でポージングのイメージしていく感じです。イメージしたら、誰もおらん部屋で練習してつくっていくんですけど、母とか妹がいきなり入ってきて『何してるん?』って言われたり(笑)」

――ちょっと気まずくなる感じで(笑)。でも、家族の方の協力は、ボディビルを続ける上で大切ですよね。
「それは間違いないです。自分の親は、『やりたいこと全力でやれ』と言ってくれますし、すごく理解もしれているので、減量期に入ったら自分だけ別のご飯をつくってくれたり。ずっとやっていた剣道をやめてボディビルをやると言ったときも、最初はびっくりしてましたけど、『そっか、頑張れ』と、今も応援してくれています」

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【PROFILE】
本多虎之介(ほんだ・とらのすけ)
2003年1月28日生まれ。中学、高校と剣道に勤しみ、ダイエット目的でトレーニングをはじめ、大阪産業大学附属高校の2年時に「全国高校生ボディビル選手権大会」でボディビルデビュー(15位)。大阪学院大学に進学し、全日本学生ボディビル選手権では、1回生時(2021年)に8位、2回生時(2022年)に3位、3回生時(2023年)に5位。その他、2022年の西日本学生ボディビル選手権・フィジーク選手権で優勝。2023年の全日本学生ボディビルオープン選手権・フィジークオープン選手権で準優勝。

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