初心者のトレーニングへの疑問を解決する本企画。マンツーマン指導と聞くとそれだけで効果が上がりそうな気はしますが、そもそもひとりでするトレーニングと何が変わるのでしょうか。今回も大長武史トレーナーに聞いてみました。
トレーニングにも先生は必要
みなさん、スポーツや習い事をする時は当たり前のように先生やコーチにつくと思いますが、なぜかトレーニングに関しては独学で行なうことが多いのが現状です。
しかし、初心者はもちろん、中上級者であっても自分を客観視するのは難しいものです。筋トレのフォームやレベル、食事や生活習慣など、プロが見ることでいろいろな修正がなされ、効果も上がりやすくなることは間違いないでしょう。
また、ジムにはマシンやフリーウエイトなどさまざまな設備がありますが、すべてを正しく扱うことは簡単ではありません。その中で自己流のフォームで重量を扱ってしまうと、最悪の場合ケガにつながる恐れもあります。
モチベーションも筋トレの重要な要素です。何事も習慣になるまで続けるには多くのハードルがあります。筋トレに関しては、ジムに入会しても1年後に続けている人は3割程度というデータもあるようです。
しかし、トレーナーと指導日の約束をすると、気分が乗らなくてもジムに行かざるを得なくなります。そうしているうちに筋トレが日常に組み込まれていくのです。
もうひとつ、とくにダイエットを目的とする場合、食事の管理が必須です。パーソナルトレーニングではそれも指導の一環に含まれていることが多く、自分の食事の良い点、悪い点などを客観視してもらうことができます。自分に厳しくできない人、栄養の知識がまったくない人でも、適切な栄養摂取によって健康的にダイエットをすることができるでしょう。
パーソナルトレーニングの料金はさまざまですが、ジムの会費とは別にお金がかかってしまうのは間違いありません。ただ、そのぶん上記のようなメリットも得られるので、一度はみなさんのトレーニングライフに取り入れてみてはいかがでしょうか。
余談ですが、私のところに来てくださるお客様は“意識低い”系の方も多いです(笑)。とくに結果を求めるわけでもなく、食事についても私の指導を守らずに食べ過ぎてしまうこともしばしば……。それでもジムに来て体を動かし、トレーナーとおしゃべりをして楽しむことを大切にしているようです。
それはそれでOK。トレーニングの目的は人それぞれですし、トレーナーは二人三脚でその人の人生にプラスになることを提供できればいいと考えています。ゆるく楽しく鍛えることを大切にしたい人なら、私は楽しさを最優先します。もちろんシリアスに結果を求める人には、その希望が叶うように全力投球します。
一人ひとりのニーズと向き合い、日々勉強を続けていく。それもトレーナーにとって重要なタスクだと思います。
大長武史(だいちょう・たけし)
1968年1月17日生まれ。1993年にスポーツクラブでトレーナーデビュー。1996年にはボディビルMr.サンプレイ新人の部優勝、東京都ボディビル選手権新人戦70kg級準優勝の成績を残す。2000年から本格的にパーソナルトレーナーとして活動を開始。GOLD’S GYM公認パーソナルトレーナー、NSCA CPT パーソナルトレーナー、日本ボディビル連盟公認一級指導員などの資格を取得。2002年より、しんそう療法(治療術)を学びはじめ、智聖流野口整体、仁武会活法療法、BHS療法(手技療法、エネルギー療法、催眠療法)も習得。パーソナルトレーナーと治療術家の二刀流で活躍中。
取材・文/森本雄大