同じ筋トレでもボディメイクと競技力アップは真逆 パーソナルトレーナーはニーズに合わせて選ぶべき【春の筋活超入門】




初心者のトレーニングへの疑問を解決する本企画。筋肉をつけたい、痩せたい、競技力を上げたい……など、一口にパーソナルトレーニングと言っても、目的に応じて受けたい指導も変わってきます。

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ニーズにマッチしたトレーナーと出会いやすい時代

パーソナルトレーナーと言っても、現在はニーズの多様化によって、さまざまなタイプが存在します。

たとえばカッコよく、美しい体をつくるボディメイク系。その延長で、フィットネスカテゴリーやフィジークなどのコンテスト競技指導に対応しているトレーナーもいます。これはコンテストのジャッジ基準なども知らなければいけないので、誰でもできるわけではないと思います。なので、コンテストを目指して筋トレをはじめようと考えている人は、その視点でトレーナーを探すべきでしょう。おすすめは自身でもコンテストに出場経験があるトレーナーです。

他にもダイエットを得意としたトレーナー、ストレッチやコンディショニングをメインとするトレーナー、体のケアや機能改善に詳しいトレーナーもいます。クライアントの体質に合わせフォームや種目を変えて指導ができるトレーナー、クライアントの癖を見抜き同じ種目でも微修正しながら指導できるトレーナー、その競技に必要かつクライアントの弱点に合わせたファンクショナルトレーニングを指導できるトレーナー、それらオーダーメイドの指導ができるトレーナーもいますが、それが上手にできる人は本当にハイレベルだと言えるでしょう。

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ひとつ注意してほしいのは、スポーツ競技のパフォーマンスアップを目的とする場合。これは同じように筋力トレーニングを行なうので誤解しがちですが、現在流行しているボディメイク系のトレーニングとはまったく異なる理論が必要となります。

いわゆる“見せる筋肉”を効率よくつけるには、端的に言うと「軽い負荷をいかに重く感じるようにトレーニングするか」がテーマになります。筋肉に負担をかけることで筋肥大を起こすことが目的なので、なるべく対象の筋肉に無駄な力を出させたほうがいいわけです。

一方、スポーツ競技では「重い負荷をいかに効率よく動かせる体をつくるか」をテーマとすることでパフォーマンスを高めます。発想が真逆なのです。古い指導者が「筋トレすると競技が下手になる」と言うことがありますが、これはボディメイク寄りの筋トレをしてしまったことが主な要因と言えるでしょう。

トレーナー側も、ボディメイク系は競技力アップ系のトレーニングを教えるのが苦手で、その逆も然り。基本的には別のジャンルと考えておけばいいでしょう。まれに両ジャンルで結果を出しているトレーナーもいますが、それはいろいろな勉強をしている優秀なトレーナーと言えます。

現代はまさにパーソナルトレーナー戦国時代。そのぶん自身にマッチしたトレーナーと出会うチャンスが増えている状況でもあります。自分の目的を明確にすること。それがトレーナーを探す際に大切なことです。

また、トレーニングを継続するには「通いやすさ」も非常に大きなポイントです。個人的にはこれが最も重要と思うくらいです。家や学校・職場の近く、通学・通勤中に立ち寄れるといった利便性も考慮するといいでしょう。


大長武史(だいちょう・たけし)
1968年1月17日生まれ。1993年にスポーツクラブでトレーナーデビュー。1996年にはボディビルMr.サンプレイ新人の部優勝、東京都ボディビル選手権新人戦70kg級準優勝の成績を残す。2000年から本格的にパーソナルトレーナーとして活動を開始。GOLD’S GYM公認パーソナルトレーナー、NSCA CPT パーソナルトレーナー、日本ボディビル連盟公認一級指導員などの資格を取得。2002年より、しんそう療法(治療術)を学びはじめ、智聖流野口整体、仁武会活法療法、BHS療法(手技療法、エネルギー療法、催眠療法)も習得。パーソナルトレーナーと治療術家の二刀流で活躍中。

取材・文/森本雄大