初心者のトレーニングへの疑問を解決する本企画。今回は鍛え上げた肉体美を競う「ボディコンテスト」を目指す場合について大長武史トレーナーに聞いていきます。
トレーニング界では、名選手が名コーチになりやすい
日々のトレーニングの成果を華やかなステージで披露する。それがトレーニーにとって大きなモチベーションになることもあるでしょう。
最近はボディコンテストの数も増え、シーズンになると毎週のように全国のどこかで大会が開催されているほど。その報道を目にする機会も増えているので、男女ともにステージを目標にして筋トレを開始する人もいることと思います。
コンテスト出場を目指す場合、どのようにトレーナーを選べばいいでしょうか。
唯一の正解はありませんが、私は実際に競技に取り組んでいる人に学ぶのが一番いいと思います。
どんな競技にも共通しますが、やはり実際の競技者は情報量、熱量ともに圧倒的に豊富です。自分自身も勝利を目指している(目指した経験がある)のですから当然ですよね。つねに巷の情報にアンテナを張り、エビデンスを学び、自分の体で試したりしていることでしょう。
そうして得た精度の高い情報をクライアントのみなさんにも提供してくれるはずですから、結果につながりやすいことは間違いありません。トレーナーになるのに必ず資格が必要なわけではありませんが、やはり有資格者のほうが多くの正しい知識を持っている可能性は高いと言えます。
ただ、資格の有無や内容だけでトレーナーの実力が測定できないのもまた事実です。競技現場での経験があれば、本番までの調整やステージでのメンタルの持ち方など、筋トレの教科書には載っていないようなノウハウも獲得していることでしょう。
「好きこそものの上手なれ」と言いますが、トレーニング界はそれが非常に顕著な業界だと思います。日々のトレーニングに加え、競技者としての考え方や生き方を学べるという点でも、コンテスト選手の指導は大きなサポートになるはずです。
ただし当然のことですがコンテスト経験者トレーナーがすべて素晴らしいわけではありません。自分の経験や種目やフォームをすべてのクライアントに当てはめ、効果が出ないとクライアントのせいにするパーソナルトレーナーも多く見てきています。そこは注意が必要です。
大長武史(だいちょう・たけし)
1968年1月17日生まれ。1993年にスポーツクラブでトレーナーデビュー。1996年にはボディビルMr.サンプレイ新人の部優勝、東京都ボディビル選手権新人戦70kg級準優勝の成績を残す。2000年から本格的にパーソナルトレーナーとして活動を開始。GOLD’S GYM公認パーソナルトレーナー、NSCA CPT パーソナルトレーナー、日本ボディビル連盟公認一級指導員などの資格を取得。2002年より、しんそう療法(治療術)を学びはじめ、智聖流野口整体、仁武会活法療法、BHS療法(手技療法、エネルギー療法、催眠療法)も習得。パーソナルトレーナーと治療術家の二刀流で活躍中。
取材・文/森本雄大