疲れている時ほど、体に悪そうなものを食べたくなるのが人の性。今回は管理栄養士の山田賢児さんに、疲労時の食事について考えを伺いました。

今回は「疲れている時に、ついラーメンやポテトチップスなど、栄養価があまり良くなさそうなものを食べたくなるけれど、これはありなのか?」というテーマについてお話しします。
正直なところ、疲れてクタクタになると、無性にラーメンやポテトチップス、唐揚げなどが食べたくなることってありますよね。私自身もそういう経験は何度もあります。これは単に味の好みだけでなく、心が「ストレス発散」や「癒やし」を求めている側面もあるのだと思います。荒んだ心を回復させる意味では、一概に悪いとは言い切れません。
ただ、栄養の観点から言うと、ポテチを食べてもあまり元気にはなりませんし、むしろ翌日にむくみやだるさを感じてしまうこともあります。ただ、唐揚げはタンパク質を含んでいるので食べ過ぎなければ問題ないでしょう。
意外かもしれませんが、ラーメンも栄養価の面で工夫すれば、疲労回復に役立つ食事に変えられることもあります。たとえば、ほうれん草をたっぷりトッピングしたり、卵を加えたりすることで、ビタミンやミネラル、タンパク質といった栄養バランスを手軽に底上げできます。また、きくらげを加えれば食物繊維や鉄分などのミネラルを補うことも可能です。
こうした豪華なトッピングをすると値段は少し上がりますが、その分、疲労回復や翌日のパフォーマンス向上につながるのは間違いありません。
疲れている時に「栄養の良いものをきちんと食べなければ」と自分を責めてしまうこともあると思います。ラーメンやポテチでストレスを発散した後には、マルチビタミンやミネラルのサプリメントを摂るなどして、体に必要な栄養素を補給するのもいいでしょう。罪悪感を払拭するためにも取り入れてみてください。
もちろん前提として、疲れている時には定食など栄養価の高いものを食べたほうが、翌日以降の体調や集中力に確実に良い影響を与えます。しかし、心のリフレッシュやストレス発散も大切なので、ラーメンやポテチを食べたい時は適度に楽しみつつ、栄養面のフォローを忘れないようにしてください。
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