仕事柄、取材で日本全国を飛び回っているが、あくまでも仕事なので観光する時間はほとんどない。ということで夕食に『旅情感』を全振りして、その土地の名物を食べる。札幌に行ったらジンギスカン、博多だったらモツ鍋、仙台に行けばもちろん牛タン、そして大阪だったら串カツ……となるところなのだが、時間が許す限り、足を運ぶお店がある。
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それはJR神戸線立花駅からほど近いところにある炭火焼肉ホルモン『いこら』。住所的には兵庫県尼崎市になるが、大阪駅から電車で10分ほどなので、ほぼ大阪なのである。予約必須の人気店だが、時間によっては予約すら困難なときも。来店時は早めの確認が大事です。
この店の目玉はホルモン。七輪で焼きながら食すのだが、とにかく新鮮で絶品。はじめての方には「ホルモンおまかせ盛り」をぜひ塩で召しあがっていただきたい。いや、はじめてじゃなくても、いつもファーストオーダーはコレになってしまうほどの鉄板メニュー。シンプルに思えるかもしれないが、こだわりの塩がなんとも言えない風味であっという間に食べ終わってしまう。本当に旨い。

もちろん焼肉も絶品。なんでこんなに柔らかいのか、と箸が止まらなくなる。こちらも塩でいただくのが好きなのだが、カウンターの向こう側から「タレもおいしいよ!」と店主の声が。この店を営んでいるのは、元女子プロレスラーのコンバット豊田さん。1986年に全日本女子プロレスに入門後、大仁田厚率いるFMWのリングで大ブレイク。1996年5月5日に川崎球場で行われた世界初の女子による電流爆破デスマッチに敗れて引退。もう30年も前のことだが、いまだに語り草となっている壮絶な引退試合だった。

その後、千葉の焼肉店で修業を積んだのち、13年前に『いこら』をオープン。以来、地元の人たちに愛される店として、営業を続けている。
関西での試合があるとプロレスラーたちも訪れる。最近では同期であるアジャコング、そして工藤めぐみが相次いで来店した。
「そうやって昔の仲間が顔を出してくれるのは、ありがたいことですよね、本当に。予約がとれない? いやいや、それは店が小さいだけの話ですから(笑)」

店が開いた瞬間からお客さまが続々と来店し、注文が殺到するのでコンバット豊田は厨房でずーっと立ちっぱなし。体力的には厳しいかもしれないが、プロレスラー時代に大きな怪我をしなかったことが、こうやって元気にお店を続けられる秘訣なのかもしれない。元プロレスラーの店ではあるが、豪快というより繊細な仕事ぶりが随所で光る名店。次の大阪取材が今から楽しみだ。
