東京・後楽園ホールで開催された「CHALLENGER 14」(9月6日)。武田幸三率いるTAKEDA GYMからは、優琉、琴弥、陽平、竹田奏音、基康の5選手が出場し、結果は3勝2敗。竹田奏音が世界王者を破って大会MVPに輝き、メインイベントでは基康がNJKFスーパーウェルター級王座を獲得した。
王者誕生、MVP、そして3勝。十分な成果を残したようにも見える。しかし大会終了後、武田にこの日のTAKEDA GYMを採点してもらうと、返ってきたのは意外な数字だった。
「60点ぐらいですかね」
そこには、勝敗だけでは測れない、武田が選手たちに求めるものが表われていた。第1試合、優琉は宰川桂人と対戦し、判定0-2で惜敗。続く第2試合では琴弥が岩切菜々美を判定3-0で下し、TAKEDA GYMにこの日最初の白星をもたらした。しかし、試合後に見せたのは勝利の笑顔ではなく悔し涙だった。
判定では勝った。それでも、自らが求めていたKOという結果には届かなかった。勝利を手にしながらも、思い描いた戦いができなかったことを悔しがる。その姿からは、琴弥がリングで求めているものの高さがうかがえた。第3試合では陽平が中島大河に判定0-3で敗れ、ここまでTAKEDA GYMは1勝2敗となった。
途中未来を背負う子どもたちのEXPLOSIONと銘打った試合も行なわれ、いよいよ後半戦へ。
竹田奏音、世界王者を破りMVP。第5試合には竹田奏音が登場。S1ムエタイ世界ミニマム級王者・庄司翔依斗を相手に判定3-0で勝利し、大会MVPにも選ばれた。試合1週間前にはアクシデントがあり、十分な練習ができなかったという。それでもリングに立った背景には、自分を応援してくれる人たちの存在があった。
「わざわざ予定を空けて来てくれる皆さんのために絶対に試合をして恩返したいと思って、ここまで来ました」
後楽園ホールに響いた「奏音」コールに勝利で応えた奏音は、「このまま世界王者になるので、応援よろしくお願いします」と、さらに先を見据えた。
“新時代の超合筋”基康が二冠王に
RISEミドル級王者・基康が、岩本光太郎とのNJKFスーパーウェルター級王座決定戦に臨んだ。基康は武田をイメージするローキックでダメージを蓄積させ、最終5Rには右ローを連打。岩本から2度のダウンを奪い、大差の判定で勝利した。これでRISEに続きNJKFでも王者となり、二冠を達成した。
勝利者インタビューでは、自身につけられた「新時代の超合筋」という異名について語った。師・武田幸三の代名詞は「超合筋」。その名を受け継ぐ基康は、二本目のベルトを手にしたリングで、さらに大きな目標を口にした。
「口だけじゃなく、しっかり結果と結果で皆さんに示したいものがあって。武田幸三先生が“超合筋”、僕は“新時代の超合筋”なので、武田幸三先生を超えます」
師匠を超える――。その言葉を、二冠王となったリングの上で言い切った。王者誕生、それでも「60点」。琴弥は勝利しながらKOできなかったことに悔し涙を流し、奏音は世界王者を破ってMVPを獲得。そして基康は新たなベルトを手にした。
それでも武田は、この日のTAKEDA GYMを「60点」と評価した。その理由を象徴するのが、「お客様」という言葉だった。「お客様の期待を超えたか」。武田が見ているのは、単純な勝敗だけではない。
基康のメインイベントは2度のダウンを奪っての大差の判定勝ち。それでも最後はKOで倒し切ってほしかった。勝つことはもちろん重要だ。しかし、勝ったその先に何を見せられるのか。武田が選手たちに求めているのは、そこなのだろう。そして、届かなかったものがあれば次へつなげる。
「お客様の期待と予想を超える戦いをする!それがプロ。メインもKOで倒すことが私たちの仕事。次回、楽しみにしていてください」
王者が生まれ、世界王者を破った選手もいる。勝利しながらそれでも「60点」。
次回のCHALLENGERは11月1日、再び後楽園ホールで開催される。「武田幸三先生を超える」と宣言した基康。「世界王者になる」と語った奏音。そして琴弥の悔し涙も、次の戦いへとつながっていく。勝つだけではない。リングに立った選手が、そこにいる観客の期待を超える。9月6日の後楽園ホールで見えたのは、そんな武田幸三の哲学と、その背中を追いながら成長を続けるTAKEDA GYMの現在だった。
「60点」の先に、どんな戦いを見せるのか。TAKEDA GYMの挑戦は続く。




