頭からつま先まで、鍛え上げた体のトータルパッケージで美を競う競技・ビキニフィットネス。そんな競技で、2022年にはIFBB世界フィットネス選手権3位に輝いたのがダンシーあずささんだ。キラキラしたオーラをまといながら、洗練された上品さも漂わせる。どこか「セレブ美女」のような雰囲気のある彼女だが、もともとは自分に自信がなかったのだという。ここではダンシーさんの歩みに迫りつつ、自身を変えたトレーニングや競技への思いを聞いた。第1回は、トレーニングとの出会いについて。
劣等感が強かった学生時代。スペインでの“超健康的”な生活が転機に
――お会いして真っ先にオーラがすごいと思いました。よく言われませんか?
「本当ですか? たしかにトレーニングを始めて、競技に出るようになってからは友達に『すごく変わったね』と言われるようになりました。それこそ見た目だけではなくて、『オーラが出てきた』みたいなことを言われたことはありました」
――トレーニングがきっかけでそう言われるようになったんですか?
「競技を通して女性らしさを追求できたことや、トレーニングで自分と向き合って、ポジティブになれたことが大きかったかもしれませんね」
――外見だけでなく、精神面の変化も大きかったと。
「はい。以前の私は『すぐに人と比べてしまう性格』だったんです。自分に100%自信を持てていないというのは、高校や大学でいろいろな人と出会う中ですごく感じていました。何かを成し遂げた経験がなくて、ずっと劣等感があったんです」
――今のダンシーさんからは想像ができないです。
「以前はいろいろと小さいことを気にするような感じでしたね。中・高・大学と10年間ずっと女子高通いだったのですが、女子同士ってマウントの取り合いみたいなものがあるんですよ。そういう中で『自分はあの子よりこうだな』みたいな考え方を自然とするようになっていったんだと思います」
――学生時代は運動部に所属していたと聞きました。活動の中で自信はつかなかったのでしょうか。
「中学で新体操、高校ではチアリーディングをやっていたのですが、強豪校ではなかったので、毎日なんとなく過ごしている感じでした。それは大学生や社会人になってからも同じで、自分が輝いていると感じる瞬間はなかったです。だから、周りで輝いている子がいたら、その子と自分を比べて嫉妬してしまうことがあったと思います」
――そんな自身が変わったきっかけは?
「私は大学でスペイン語を専攻していたこともあり、社会人になってから留学でスペインに行く機会があったんです。そこでお世話になったホストマザーの生活に触れて、価値観がガラッと変わりました」
――それはどのようなものだったのでしょうか。
「とにかく“超健康的“という感じです。40代で週6回ジムに行って、バリバリ体を動かしてトレーニングもして、食事もすごく気をつけていました。その傍らで、私はトレーニングもせず自分の好きなものを食べて生活していたので、健康への意識の違いに衝撃を受けました」
――健康的な生活を送るホストマザーを見て、どう感じましたか?
「このまま何もしないで40代になったら、生き生きとした人生にはならないんだろうなと思いました。自分の中ではダイエットや筋トレって、みんな苦しみながらやっているイメージがあったので、それを生活の一部として取り入れているホストマザーが私の中ですごく刺激的でした。しかも、お世話になってしばらく経つと、半ば強制的にジムに連れていかれる機会がありまして(笑)。そこから徐々にトレーニングに目覚めていきました」
取材・文/森本雄大
写真提供/ダンシーあずさ
ダンシーあずさ
1990年5月11日生まれ。大学卒業後、2015年にスペインへの留学を機にトレーニングを始め、2017年からはビキニフィットネスに挑戦する。選手としてトップ戦線を走りつつ、現在はパーソナルトレーナー、ポージングコーチとしても活動中。
【主な戦績】
<2018~2022年>
オールジャパンフィットネスチャンピオンシップス ビキニフィットネス163cm以下級 優勝
<2019・2021・2022年>
JBBF FITNESS JAPAN GRAND CHAMPIONSHIPS ビキニフィットネス 2位
<2022年>
IFBB世界フィットネス選手権 ビキニ 160 cm以下級 3位