福岡でトレーナー養成として実績を上げているパーソナルアカデミーと、マイナビアスリートキャリアがタッグを組んで立ち上げた、プロのトレーナーを養成するための学校「パーソナルアカデミー東京校」が6月に開校する。これまでのトレーナー養成学校とは何が違うのか? 代表講師を務める高木宏一郎トレーナーに話を聞いた。
福岡のパーソナルトレーニングジム「eight」の代表を務める高木宏一郎トレーナーは、約20年キャリアを持ち、専門学校の講師を務めた経験も持つ。そこで疑問に感じることが多かったことが、トレーナー養成学校設立のきっかけになったという。
「トレーナーになって12~13年が過ぎた頃に、パーソナルトレーナーの専門学校の講師をやらせてもらっていたことがありました。対象はパーソナルトレーナーを目指す生徒たちなのですが、授業の内容があまりにも目的と違っていたというか、これでは卒業しても絶対にパーソナルトレーナーとしてやっていけないのでは?と疑問を感じました」
専門学校では知識を得ることがメインになっており、実際に現場でお客様を対応するために必要なことを教える時間がほとんどない。パーソナルトレーナーとして必要ではないことを学ぶ時間も多く、時間も授業料ももったいないと感じていた高木トレーナーは、より実践的な指導をすることを目的として、自ら地元の福岡で立ち上げたのがパーソナルアカデミーだった。
「トレーナーの専門学校は“資格取得率100パーセント”みたいな宣伝をしていますが、資格のための養成になってしまっていると感じました。その結果、生徒も資格を取ればトレーナーになれると思ってしまっているんです。資格を持っていない人間が言っても説得力がないので、僕も国際的な資格は取りましたが、実際にトレーナーの仕事で必要とすることはほとんどありません。そもそもお客様はトレーナーを資格で選ぶわけではないんです。パーソナルアカデミーで重視しているのは、資格よりも、会話力、コミュニケーション能力、雰囲気を読む力や人間力といった部分です」
今回、東京校開校にあたってマイナビアスリートキャリアとのタッグが実現した背景は、卒業後の「就職」を視野に入れてのこと。高木トレーナーが培ってきた現場で必要なことと、マイナビアスリートキャリアの得意分野である就職に必要なスキル、お互いの武器を生かすために協力することになった。
「トレーナーのプログラムを終えたら、就職する子もいるし、独立する子もいると思います。就職、転職といえばマイナビアスリートキャリアさんですし、僕の専門ではない一般教養やマナーの部分のカリキュラムもすでに持っているので、これを組み合わせたら完璧になると思って一緒にやらせてもらうことになりました」
基本的にプログラムの期間には、座学として一般教養やマナーといったことを学び、実技の面ではHIROTECのマシンのショールームを使用して、実践で必要なことを学ぶことになっている。
「今の時代、インターネットを見れば誰でも勉強はできます。だけど、実際に現場で経験してきた失敗談や成功体験というのは、インターネットには出ていないので、そういったことを伝えていきます。お客様との話し方や会話の引き出し方、得た情報からのメニューの組み方、体の触り方や気配りの仕方といった、本当に現場で必要なことを教えます。福岡での経験で言うと、すべてのプログラムを終えたら、すぐにお客様についても問題ないくらいのレベルにはいけるはずです。時間的にも金銭的にも従来のパーソナルトレーナー養成学校よりも、負担は少ないと思います」
パーソナルトレーナーを目指す人たちにとっては、内容面、金銭面、時間の面でも有益なものとなりそうだ。一方で自身がトレーナーである高木トレーナーからすると、同業のライバルを増やすことになるのではないか?と問いかけると、こんな答えが返ってきた。
「立地や金額もありますけど、お客様がトレーナーを選ぶ条件は、いかにその人と自分の感覚が合うかという部分だと思います。だから、どれだけトレーナーが増えたとしても、同じトレーナーが増えるわけではないので、ライバルという感覚はないです。むしろ、選ばれるトレーナーが増えて、お客様にとって、自分に合うトレーナーを選べる機会が増えたらいいなという気持ちです」
トレーナーを目指す人たちがしっかり現場で活躍できるように学ぶことができ、パーソナルトレーナーを探すお客様が自分に合ったトレーナーを見つけられる。そんなwin-winの関係を目指していくと言います。「選ばれるトレーナー」の養成を掲げるパーソナルアカデミー東京校は6月より開校。申込や料金などの詳細はこちらから
【PROFILE】
高木宏一郎(たかぎ・こういちろう)
カラダが華奢な事にコンプレックスを抱き、自分を変えたくてトレーニングを始める。トレーニングの面白さにはまり、パーソナルトレーナーのキャリアをスタート。その後、Body Making Gym 「eight」を設立し、ボディメイクだけでなく、アスリートが「試合で勝つ為のカラダづくり」に力を注ぐ。現在は、トレーナーの養成プログラムを立ち上げ、人材の育成も行なっている。