「ダイエット=美ボディ」ではない。女性が筋トレをする意義【岡部友の尻トレ最先端#1】




メリハリボディをつくるお尻のトレーニングが注目を浴びています。そこで本企画では“美尻のカリスマ”こと岡部友さんにインタビューを実施。尻トレの最新トレンドやトレーニングにまつわるQ&Aをお届けします。第1回では導入として「女性が筋トレをする意義」について伺いました。

痩せるだけでスタイルがよくなるのは、骨格に恵まれた人だけ

――なぜ女性に筋トレが必要なのでしょうか。

「体の変化を自分でコントロールする方法が筋トレだからです。女性の方々は『痩せれば魅力的な体になる』と思っている場合が多いですが、それはじつは間違いです。女性の美しい体づくりにおいて、筋トレは必要不可欠なものだと思います」

――たしかに「ダイエット=美ボディ」という考えは根深いように思います。

「これは陥りがちな罠ですね。ダイエットをして美しい体になるかはその人の骨格次第で、人によっては痩せてもいい体になりません。骨格によってフレームが決まるし、また脂肪がどこにつくかも遺伝によるものです。女性が気にする脂肪量自体はダイエットでコントロールできますが、厳密にいうと『どの部位の脂肪を減らすか』までは操作できないということです。痩せるだけでは、単にメリハリがなくなって魅力的な体から遠ざかる場合が多いです」

――ダイエットは脂肪を削るだけの作業で、骨格によっては逆効果だと。

「そうです。脂肪を減らすという作業において、食事管理やトレーニングで特定の部位のみ減るということはありません。そうなると骨格や脂肪のつき方に恵まれた人だけが、痩せた時にいい体になるだけなんです。それって万人のものではないですよね。万人がコントロールできて、前よりもいい体を目指すためには『筋肉をつける』ということが必要になるかと思います」

※こちらの写真は2018年に撮影したものです

――たしかに筋肉をつけるというのは、自らの努力でコントロールできますね。

「はい。だから筋トレが大切なんです。とくにお尻はメリハリのある体をつくる上で重要な部位と言えます。私たちが意識して教えているのは、お尻の中でも上部・中部・下部といったターゲットを明確にして、彫刻をつくるように筋肉の付け方をコントロールすることです。お尻の筋肉に加えてハムストリングス、大腿四頭筋などの鍛え方も工夫することで、よりバランスのいい体をつくることが可能になります」

――そこまで詳細に筋肉の付け方を制御することができるのですね。

「はい。もちろん見え方としては、各部位にどのくらい脂肪が乗っているかで変わってきます。ただ、以前の自分の体よりよくすることは確実に可能です。トレーニングは努力次第で、必ず体を変えることができます」

筋トレは機能改善の面でも重要

――外見を美しくすること以外に、トレーニングに期待できる効果はありますか。

「機能改善や精神面の充実に効果があると思います。まず機能改善ですが、たとえば多くの方々が悩む腰・ヒザの痛みや坐骨神経痛などは、骨盤まわりの筋肉である大殿筋が弱いことによって他の筋肉が過緊張を起こしている状態です。単に大殿筋を鍛えれば治るとは言えませんが、改善に向かう可能性は高まると思います」

――大きな筋肉が弱いことで、他の筋肉の負担が高まるのでしょうか。

「その通りです。先ほどの例でいうと、殿筋群の中で一番大きな筋肉である大殿筋は、間接的に他の筋肉に強い影響を及ぼしています。大きな筋肉が弱いと、小さい筋肉が多くの仕事をしないといけないですよね。そうなると小さな筋肉がキャパオーバーになって痛みが出てしまうのです。筋肉は骨を動かす力があるので、筋肉が過緊張している部分があったり、逆に弱い部分があったりすると、毎日の生活の中で骨格を歪ませることにもつながります。O脚や骨盤の前傾・後傾、反り腰などの問題が代表的でしょう。筋力低下から腰痛や猫背につながっている方もいるので、筋トレは体が異常を起こさないためにも必要なのです」

(第2回に続く)

取材・文/森本雄大
写真/保高幸子
写真提供/SPICE UP FITNESS


岡部友(おかべ・とも)
1985年12月6日、横浜市生まれ。株式会社ヴィーナスジャパン代表取締役。高校卒業後、アメリカで運動生理学、解剖学を学び、フロリダ大学在学中に、プロアスリートに指導できるスポーツトレーナーが保持するNSCA-CSCSの資格を取得。帰国後、女性専門パーソナルトレーナーを経て、2016年3月に女性専用のフリーウエイトジム「SPICE UP FITNESS」を東京・南青山にオープン。2023年現在は5店舗を構えている。“美尻のカリスマ”として女性を中心に絶大な支持を集める。