手軽に筋トレができる現代だからこそ、自己流のトレーニングでは壁に直面することもしばしば。そこで本企画では、“美尻のカリスマ”こと岡部友さんに、お尻のトレーニングにまつわる疑問を尋ねていきます。今回はお尻の形に注目し、四角いお尻や垂れ尻の解消法について伺いました。
トレーニング内容と食事の見直しが必要
まず四角いお尻ですが、こちらは骨格と筋肉のつき方が関係しています。少し専門的な話になりますが、大腿骨の上外方にある突起である大転子と、骨盤の一番出っ張った部分である上前腸骨棘(ASIS)がポイントです。このふたつの骨が出っ張っている場合は、お尻から大腿骨にかけての骨格はストレートだと言えます。
そういった骨格に対して、まんべんなくお尻周りの筋肉をつけてもメリハリは生まれず、「四角いお尻」になってしまいます。下部に筋肉をつけることできれいな逆ハート型に近づきます。自分の骨格を知ることも、効率のいいトレーニングの秘訣です。
また、陥りがちなのが、クラムシェルやアブダクションなど中殿筋ばかり鍛えるトレーニングをしてしまうことです。中殿筋は大殿筋や小殿筋に比べて効かせやすいので、「やっている感」があると思います。そうして中殿筋ばかり鍛えていると、お尻の上部の横側が発達してしまい、いびつなお尻の原因になります。
中殿筋を鍛えていても、大殿筋も同じように鍛えていれば問題はありません。ただ、中殿筋ばかり鍛えて大殿筋が発達していないと、形が悪くなるということです。このケースはまず自分の骨格を見極めたうえで、トレーニング内容の見直しを行ないましょう。
次に垂れ尻ですが、大前提として垂れ尻というものは存在しません。お尻に筋肉や脂肪がないだけなのです。「垂れ尻」と言うと豊満なお尻が垂れ下がっている印象を受けますが、じつはそうではなく、こういった悩みをもつ人は圧倒的に筋量と脂肪が足りません。それであたかも「垂れている」ように感じるのです。改善するためには、お尻全体にボリュームを出す努力が必要です。
この場合にも、中殿筋など一部の筋肉だけを鍛えるのはNG。お尻の筋肉が全体的に不足している場合が多いので、偏ることなくトレーニングを行なっていきましょう。そして先述したように垂れ尻で悩む方は圧倒的に脂肪が足りないので、絶対に痩せようとしてはいけません。痩せればスタイルがよくなると考える人が多いですが、そうではないのです。
脂肪と筋肉がついて、お尻が“パン”と張っていたほうが垂れ尻には見えません。トレーニングで筋量を増やしつつ、しっかりと食べて脂肪もつけていくと、俗に言う垂れ尻の改善につながると思います。
取材・文/森本雄大
写真提供/SPICE UP FITNESS
岡部友(おかべ・とも)
1985年12月6日、横浜市生まれ。株式会社ヴィーナスジャパン代表取締役。高校卒業後、アメリカで運動生理学、解剖学を学び、フロリダ大学在学中に、プロアスリートに指導できるスポーツトレーナーが保持するNSCA-CSCSの資格を取得。帰国後、女性専門パーソナルトレーナーを経て、2016年3月に女性専用のフリーウエイトジム「SPICE UP FITNESS」を東京・南青山にオープン。2023年現在は5店舗を構えている。“美尻のカリスマ”として女性を中心に絶大な支持を集める。