“ジョジョ立ち”パフォーマンスが生まれたワケ。会社員ビルダー・桐谷昌樹には『スゴ味』があるッ!




会場が沸いた――。その表現がここまで似合う瞬間に立ち会ったのは初めてだった。

200人以上がエントリーして激戦となった「第31回東京ノービスボディビル選手権大会(5月3日開催)」。この日一番の大歓声を集めたのは、エントリーが話題となった筋肉YouTuber・ぷろたん(鈴木健太郎)でも、ゲストポーザーの喜納穂高さんでもない。競技歴2年のサラリーマン・桐谷昌樹さんだった。とくに彼が繰り出したフリーポーズは観客の心をわしづかみにした。

彼がパフォーマンスに取り入れたのは、人気漫画「ジョジョの奇妙な冒険」に由来する“ジョジョ立ち”。抜群の表現力で会場を魅了すると、初出場でミスター75kg以下級の頂点に駆け上がったのだ。

そのステージが話題を呼び、大会後は連絡が殺到したという桐谷さん。そんな彼の“ジョジョ立ち”パフォーマンスはいかにして生まれたものなのだろうか。話題の男を直撃した。

ジョジョとボディビルは相性が良いと思っていた

――東京ノービスで初出場・初優勝を飾りました。あらためてお気持ちはいかがですか。

「とても光栄なことで本当にうれしいです。ただ、数日後に出た順位表を見たら、2位の本間大地選手との得点差が紙一重だったんです。規定ポーズは上手い方がたくさんいますし、自分はエンタメ性で何とか勝てたのかなと思います。今後は基本を磨きつつ、持ち味のエンタメ力をより磨いていって、もっと上を目指したいです」

――話題となりました、フリーポーズで取り入れた曲について教えてください。

「ジョジョ第5部『黄金の風』のアニメ版から『処刑用BGM(il vento d’oro)』を選びました。窮地に追い込まれた主人公が、戦略を練って逆転するシーンで使われる曲です。爽快感があって大好きな音楽ですね」

――ジョジョをボディビルに取り入れようと思ったのはいつからなのでしょうか。

「『ジョジョとボディビルは相性が良さそうだ』というのはずっと思っていました。アニメで処刑用BGMを聴いた時にこれはいけそうだと思って、いつか実現できればと温めていました」

――YouTubeで桐谷さんのフリーポーズ動画に多くの反響がありました。中には「ジョジョとボディビルがこんなに合うとは」という声もありましたね。

「本当にありがたいです。ジョジョの作者である荒木飛呂彦先生は、人間の可動域の限界を攻めるようなポーズをあえて描いていると聞きます。ストレッチや力みなどを限界まで引き出せるので映えますよね。多分、ボディビルの規定ポーズも審査しやすいように7つになっているだけで、肉体の美しさを表現できるポーズには無限の可能性があると思います」

――「桐谷選手にはスゴ味があるッ」など、作中の表現を交えたコメントも多く届きました。

「あれはたしか5部のセリフですね。ジョジョにたとえてもらえるのはうれしいです。ジョジョのセリフとボディビルのかけ声も相性がいいと思うんですよね。『そこにシビれる! あこがれるゥ!』とか、会場でかけられたらテンションが上がりそうです(笑)」

――ちなみに、桐谷さんが好きなジョジョのセリフは?

「自分は第3部『スターダストクルセイダース』の主人公・空条丈太郎のセリフが一番好きです。丈太郎が敵のDIOを倒した後『てめーの敗因はたったひとつだぜ……DIO…たったひとつのシンプルな答えだ。てめーはおれを怒らせた』と言うんです。あれは漫画でも何回も読み直して、ジョジョの世界に浸りましたね。ジョジョはかっこいいセリフがたくさんあって、心に『ズギューン!』と刺さります」

――それはまさにシビれますね! 次のフリーポーズもジョジョがテーマになりますか。

「次はジョジョではない曲でチャレンジする予定です。まだ秘密ですが、ヒントは『ゲームの曲』です。自分もまだクリアできていない作品なので、6月24日の東京クラス別選手権までにはクリアして、気持ちの高ぶりをポーズで表現できるようにしたいと思います」

――最後に、東京クラス別選手権への意気込みをお願いします。

「出るからには優勝を目指したいです。いつか男子日本ボディビル選手権大会に出ることが夢なので、東京クラス別でしっかり結果を残してチャンスを掴みたいです。とはいえ、かなりレベルの高い闘いになると思うので、他の選手を意識しすぎず『自分らしく表現すること』を大切にしようと思います。ボディビルの魅力は、いかに自分を磨き上げたかを競うことだと思っているので、“Do my best”の精神でやれるだけのことをやって、競技を全力で楽しんでいきます」

【フォト】桐谷さんが見せる”ジョジョ立ち”の数々。そこにシビレる、あこがれるゥ!