Jリーグ元年の1993年に、地元の清水エスパルスに加入。そこから30年となる今期も、伊東輝悦の肩書きはJリーガーのままである。年齢だけで言えば三浦知良（1967年2月26日生）、村木伸二（1973年8月1日生）が上回るが、ことJリーグに限れば30年にわたってリーグ一筋でプレーしてきた唯一無二の存在だ。“マイアミの奇跡”の立役者として名を馳せた男が、これほど長く現役を続けられる理由は何なのか。中山雅史監督率いるアスルクラロ沼津所属の伊東を訪ね、48歳の肉体を支えるトレーニング理論に耳を傾けてみた。
パーソナルトレーナーをつけたのは一度だけ
——今日は48歳にしていまだ現役の伊東選手にサッカーそのものの話ではなく、これほど長く現役生活を続けられる理由をお聞きしようと思っています。
「いいですけど、別に何もやってないですよ（笑）。週に5回、チーム全体でやる運動は当然やりますけど、個別のトレーニングは基本的にはやらないです。最初にお話をもらった時にサイトを見させてもらいましたけど、ゴリゴリのマッチョな人ばかりだったので『俺は何もやってねぇよ、どうしようか』って思いましたからね（笑）」
——日本代表にまで登りつめた選手のトレーニング法に興味を持っている人も少なくないと思います。特別なトレーニングはされていないとのことですが、それは今に限らず昔からそうなのでしょうか。
「小中高とか学生の時もやらなかったですね。プロに入って21歳くらいの時に一度だけパーソナルトレーナーをつけてのトレーニングをやったんですけど、結局10か月くらいで止めちゃったんですよ。スクワットとか自重メインのトレーニングを週の頭くらいやるんですけど、それをやると体がパンパンになってね。次の日とか、下手をしたら2日後くらいまで体がパンパンになって、もう『練習したくねぇな』ってくらいになっちゃって。その時に『これってもう違うよな』って思いが出てきたんです」
——通常の練習に支障をきたすだけではなく、練習意欲も下がってしまったわけですね。
「今は科学的なトレーニング法とかいろいろあるんでしょうけど、それ以降はパーソナルもやっていないですし他のことも試してないですね」
