オフィスでできるエクササイズを澤木一貴トレーナーに解説していただく本企画。今回のポイントは「体を捻る」動きです。捻るという行為は、体の機能を低下させないために重要なことなのです。
ここでは具体的なエクササイズ種目として、座りながらできる「プレッツェル」を紹介します。
【エクササイズのポイント】
①イスに浅く腰掛けたら、脚を組みます。
②背筋を伸ばし、組んだ方の脚を逆側の手で押さえます。
③空いたほうの手でイスの背もたれを持ち、体を捻りながら後方を見ます。この時、胴体の腹斜筋群、お尻や太ももの裏がストレッチされます。30秒キープしたら、反対側も同様に行なっていきましょう。
【NGフォーム】
背中を丸めて行なってしまうと、胴体の部分が回旋しにくいです。背中は丸めず、しっかりと伸ばした状態で捻るようにしましょう。呼吸を止めないように行なうのもポイントです。
今回のエクササイズで主に伸ばすのは、胸椎の周囲の筋肉です。胸椎周辺が固まってくると猫背を助長しやすくなり、呼吸の質の低下につながることがあります。加えて、腰の負担が増えることから腰椎分離症、すべり症、椎間板ヘルニアなどの異常が起こりやすくなります。
「ジョイント バイ ジョイント セオリー」と呼ばれますが、人間の体は「安定性が重視される関節」と「可動性が重視される関節」の相互作用によって成り立っています。
どっしりと揺らがない腰椎があることで、自由に動く胸椎(胴体)が機能するというわけです。動くべき関節が正常に動かなければ、他の関節で動きを補わなければなりません。今回の例でいうと胸椎が固まると、その動きを補償するために本来は動かない関節である腰椎が動いてしまうというわけです。
腰椎が動いてしまう結果、腰椎分離症やヘルニアなど、腰の異常が発生してくるのです。胸椎周辺が固まってしまうのはリスクが大きいので、ぜひプレッツェルを取り入れて、上半身の可動性をキープしてみてください。
澤木一貴(さわき・かずたか)
1971年5月3日、静岡県出身。日本大学在学中にエグザス二子玉川でマシンインストラクターを務める。大学卒業後、パーソナルトレーナーと並行して、フジ虎ノ門整形外科病院スポーツトレーナー科(主任)、ヒューマンアカデミー東京校スポーツカレッジ(常勤講師)などを歴任。2010年にSAWAKI GYMを創設した。現在は早稲田本店、高田馬場店、沖縄北谷店を運営。トレーニングに関する数多くの著書も持つ、パーソナルトレーナー界の第一人者の一人。