バズーカ岡田氏が自身のYouTutubeで「日本人男性の平均健康寿命は約73歳、なのにそれを超える選手約47人が出場、これはとんでもないこと」とコメントした第35回日本マスターズボディビル選手権大会(8/27開催)。まさに長寿大国ニッポンを象徴するこの大会において、40歳以上の選手約170人の頂点に立ったのが土金正巳(55歳)だ。50歳以上70kg以下級では3連覇、そのままオーバーオール優勝を獲得した。
金髪に赤ビルパンがトレードマークのこの男を、業界では知らない人はいないだろう。加えて“どこにいってもいる”と思えるほどステージに立ち続けており、今年は東京選手権、関東選手権、日本クラシックボディビル選手権、ジャパンオープン選手権に出場。この日のマスターズ選手権はシーズン5戦目だ。決して楽なことではないだろうが、「そのパワーの源はどこにあるのか?」と問うと、返ってきた答えは非常にシンプルだった。
「もう純粋に、何歳になってもステージに上がるのが楽しい。ただそれだけですよ。『今日は絶対に勝たなくてはいけない』という気負いも良い意味でないので、ステージに上がってフリーポーズをとって、それで順位が少しでも良ければうれしい。ずっとそんな感じですよ」
コンペティターである以上はその日にベストコンディションをもっていけるように努めるが、あくまで根幹にあるのは楽しさ。決して感情を大きく表に出すタイプの男ではないが、穏やかに、ニヤりとほほ笑むその表情には、周囲が感じる以上のボディビルへの愛が秘められているではないだろうか。
「僕にとってボディビルは、若い頃からの憧れであって、それをただ続けているだけ。もちろんやる以上は全力でコンディションはつくりますし、家族に迷惑をかけない程度に、ですけどね」
世界選手権への切符がかかったこの大会に今シーズンは照準を合わせてきたとのことだが、まだまだ土金の2023年シーズンは終わらない。この日から1週間後、体重別の日本一決定戦「日本クラス別選手権」へ出場する。
「自分の体の強化……という意味では、特にここというのはなくて。今日もですが、周りに並んでいる選手の方々を見て、『すごいな』と純粋に思うので、少しでも追い付けるようにがんばっていきます」
9/3(日)、今度は京の都で力強く舞う姿を見せる。