2/17~2/18、東京・ベルサール飯田橋ファーストにて『第36回全日本ベンチプレス選手権大会』が開催された。今大会は専用のベンチプレスシャツを着用して行なうフルギアベンチプレスの全国大会であり、東京での開催は約8年ぶりとなった。
今大会において大きな注目を集めたのが、世界ベンチプレス選手権大会で22回の優勝を誇り、国際パワーリフティングの連盟の殿堂入り、フルギア・ノーギアの世界2冠達成など圧巻の実績を持つ児玉大紀(男子83kg級、一般・M1)だ。世界で唯一、体重の4倍の重量を挙げることができるベンチプレッサーでもある児玉は、今大会でも貫禄の310kgを拳上。大会後、世界のトップを走り続ける男に話を聞いた。
【フォト&リザルト】第36回全日本ベンチプレス選手権Day2ダイジェスト
――今大会ではフルギアで310kgの記録を達成されました。今のお気持ちはいかがですか。
「率直にうれしいです。調整に苦戦するということもとくにはなかったですね」
――児玉さんはフルギアとノーギアの両方で世界を制されています。両方に挑む理由は?
「ベンチプレス競技の歴史をたどれば、世界大会ってフルギアしかなかったんですよ。ノーギアは単に最近できたから出ている感じですね。20年以上前にベンチを始めて、試合がフルギアしかないからフルギアをやっていて、ノーギアができてからそちらも出るようになって、両方とも勝つことができている感じですね。そもそもトレーニングはノーギアでやるものなので、原点に立ち返ってノーギアで競技するのもいいですよね」
――ベンチプレスを専門に20年以上やられているのですね。
「はい。3種のほうはやっていなくて、そっちはめっちゃ弱いです。いわゆる強いという人の半分くらいかもしれないですね。ベンチプレスに関しては、もう世界チャンピオン歴22年になります(笑)」
――ベンチに特化されている理由はなぜなのでしょう?
「『単純に面白くて好きだから』に尽きますね。もともと水泳をやっていたんですけど、その時は泣かず飛ばずだったんです。それで新しくベンチプレスを始めたら、どんどん記録も伸びて強くなってくるじゃないですか。それがおもしろくて。水泳は3歳から18歳までやっていて、記録が止まって限界を感じていた時にベンチプレスに出会ったんです。つねに過去の自分を更新していけるのが魅力ですかね」
――最後に今後の目標を教えてください。
「自分はジュニアカテゴリーの時も世界チャンピオンになって、40歳になってもマスターズで優勝しているので、次は50歳を越えても勝ちたいというのが目標ですね。その時には競技歴30年になりますから、人生の半分以上をベンチプレスに捧げているということです。今、人生の半分以上を世界チャンピオンとして過ごすことができていますから、これからもその記録を更新し続けたいですね」
取材・文・写真/森本雄大