ジュラシックカップで一気にその名を揚げた檜皮哲希。弱冠20歳ながら冷静に自分の現在地を見つめ、着実に実績を積み上げてきた男が見据える、2024年シーズンの戦いとは?インタビュー最終回は、今年にかける思いを聞いた。
全てにおいて去年より飛躍的に磨きをかけて挑む
――競技者としては今シーズンが4年目、すっかりボディビルにのめり込んでいますが、競技の魅力や、やっていて良かったと思うことは。
「例えば一般的なスポーツって、基本的には練習をして動作が上手くなっていくことがメインになっていくと思います。ですがボディビルはやればやるほど、自分の身体の形の変化として現れてきますよね。その結果の返り方がすごく面白いなって思っています。あとは、ボディビルやってる人は情熱的な人が多くて、ボディビルの魂をすごく持ってる人がたくさんいます。そうして通じ合っていくことで仲間か増えていくところが、自分は好きですね」
――ボディビルをやるのが嫌になったり、メンタル的に落ち込んだりすることはありませんか?
「見上げたら果てしないくらい上には上がいる世界なので、そこで『自分は才能がないんじゃないか』と少し前は落ち込むことはありました。ただ、大会に出るごとに自分の客観的な評価をいただけるので、そこで自分の立ち位置を把握して、『自分は現状これくらいなんだ』としっかり把握して次に改善に向けて取り組むことで、メンタルはかなり安定するようになりました。その積み重ねで、ネガティブな感情は減ってきてはいるかなと感じます」
――人は人、自分は自分と。
「そうですね。今はとにかく自分ができることをしっかりやっていって、着実に実力上げていきたいと思っています」
――漠然とした質問になりますが。檜皮哲希にとってボディビルとは?
「トレーニングだけの話だと、言ってしまえば自分の好きなことであり、趣味という感じであると思います。ただ競技としてボディビルをやるとなると、食事や睡眠などいろんな面で日常生活に絡んでくるので、そういう意味だと、『生き様』そのものなのかなと思います。唯一の楽しみ…というわけではないですが、自分がここまで本気でいられるのは、今はボディビルだけなのでこれからも続けていきたいものだと思います」
――今年の大会出場予定を教えてください。
「本来の自分のレベルだと、狙うべきは兵庫県ボディビル選手権かなと思っているのですが、クオリファイ(出場資格)をとるためには6月の大会に出場する必要があり、ちょっと日程的に厳しいところがあります。そのため、まずは去年同様に関西ボディビル選手権する予定です。その後に、自分の中の大目玉として考えている日本ジュニアボディビル選手権(8/25東京開催)。実は、いま通っている専門学校の海外研修の日程と被ってしまっているのですが、それを蹴って今年はジュニアに出るつもりです」
――近年はジュニア世代の躍進は凄まじいものがあり、今年も激戦必至と言われていますね。
「今年の日本ジュニアは、相当すごいと思いますよ。いろいろな選手の情報を耳にするのですが、例えば自分の身近な人で言うと、去年ファイナリストになっている森川陽介さん。70kg超級で11位でしたが、実際に見るととにかくデカい。あとは、自分の世代で言うと、坂本陽斗さんはやはり意識せざるをえない選手です。他にも去年出てない選手や、2年前の高校選手権で自分が負けた選手も出てくると思うので、ハイレベルな戦いになると思います」
――ジュラシックカップ優勝者として、その中で上位に食い込みたいですね。
「もちろんです、やはり若い世代の大きな目標となる大会なので。ポージングも、バルクも、筋肉のストリエーションやカット、あらゆる要素が勝敗を分けると思いますし、絞ってみないと答え合わせができないところもありますが、全ての部分で去年より飛躍的に磨きをかけて、気合いを入れて挑みたいと思います」
(了)
取材・写真/木村雄大
【PROFILE】
檜皮哲希(ひわだ・てつき)
2004年2月14日生まれ、兵庫県出身。兵庫県立篠山鳳鳴高校3年生時の2021年に、マッスルゲート関西大会でボディビルデビュー。高校生の部で優勝、ジュニアの部で3位。その年の全国高校生ボディビル選手権では6位入賞。2023年、関西ジュニアボディビル選手権、関西クラス別ボディビル選手権の75kg超級で優勝。初開催のジュラシックカップではルーキークラスの初代王者に。
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