競技力アップのために師事すべきトレーナーとは? 経験者が名コーチにならない場合もある【春の筋活超入門】




初心者のトレーニングへの疑問を解決する本企画。今回は、パーソナルトレーニングにおける主目的のひとつである“競技力アップ”にスポットを当てます。極真空手の世界チャンピオンをはじめ、多くのアスリートも指導してきた大長武史トレーナーのアドバイスとは?

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まずは競技経験者を検討する。だが注意も必要

競技力アップのためのフィジカル強化は、競技そのものと分けて考えるべきという意見もあるかもしれません。

たしかに瞬発力や敏捷性などを身につける上では、必ずしも競技動作の中でトレーニングをする必要はないでしょう。たとえば瞬発力を高めるために全身のパワー発揮能力を鍛えるスナッチやクリーンなどの種目を行なうアスリートが多いように、競技動作と違った動きが効果的である場合も多々あります。

また、自宅の近くに自身の競技を経験しているトレーナーがいないこともあるでしょう。ただ、複数のトレーナーを選べる状況で、選択肢の中に自身の競技の経験者がいるのであれば、そのトレーナーを選ぶメリットは大きいと言えます。

一番大きな理由は、トレーナーが「競技の現場をイメージできる」ことです。

本番の動きをイメージし、そのために必要なフィジカル要素を分析した上で、選手の特性に合わせてアプローチするには、やはり自らの経験があることはアドバンテージになります。

ただ、元競技者としての熱量、情報量はもちろんプラスになりますが、自分が選手として成功したノウハウがそのままクライアントの個性とマッチするとは限りません。トレーナーは自分が成功してきたやり方を教える傾向があるからです。

優秀なトレーナーであれば、客観的に競技を分析する目を持ちつつ、選手の特性や課題を見極め、その上でオーダーメイドの指導を提供できるかもしれません。しかし、それは誰にでもできるとは限りません。

まずはそのトレーナー自身の競技実績に目を向けてみること。その後は、実際に指導を受けてみての相性などで判断する必要があると思います。また、つながりのある選手からの紹介を受けるのも有効です。選手からのリアルな評価は大きな判断材料になり得るでしょう。


大長武史(だいちょう・たけし)
1968年1月17日生まれ。1993年にスポーツクラブでトレーナーデビュー。1996年にはボディビルMr.サンプレイ新人の部優勝、東京都ボディビル選手権新人戦70kg級準優勝の成績を残す。2000年から本格的にパーソナルトレーナーとして活動を開始。GOLD’S GYM公認パーソナルトレーナー、NSCA CPT パーソナルトレーナー、日本ボディビル連盟公認一級指導員などの資格を取得。2002年より、しんそう療法(治療術)を学びはじめ、智聖流野口整体、仁武会活法療法、BHS療法(手技療法、エネルギー療法、催眠療法)も習得。パーソナルトレーナーと治療術家の二刀流で活躍中。

取材・文/森本雄大