マリーゴールド旗揚げ戦 アクトレスガールズを育てた風香はどう見たか?




噂の女子プロレス新団体マリーゴールドが5月20日(月)、東京・後楽園ホールにて旗揚げ戦を行なった。

マリーゴールドは、今年2月にスターダムのエグゼクティブプロデューサーを解任されたロッシー小川が元スターダムの5人を含む7選手とともに出発。4月に行なわれた発表記者会見ではアクトレスガールズ(以下アクト)を退団した6名も参戦を直訴し、後に正式入団となった。

所属選手がいきなり13名に膨れ上がったわけだが、アクトは21年末にプロレス団体としての活動を停止、リングを使ったスポーツエンターテインメントにシフトチェンジしており、生粋のプロレスラーの中に入ってどうなのかという不安もあった。

元アクト勢を育ててきたのは、元プロレスラーで現役時代には総合格闘技やシュートボクシングにもチャレンジ、2011年のスターダム旗揚げに参画しゼネラルマネジャーとして活動してきた風香である。風香は18年にスターダムを退団し、22年8月にアクトのアドバイザーに就任。以来、後進たちの指導にあたっていた。しかし4月に退任し新団体マリーゴールドへの参加を表明、6選手が追随したことで物議をかもした。

【試合フォト】旗揚げ戦のメインイベント ジュリア&林下詩美VS Sareee&ボジラ

が、アクトとは和解し、6選手たちも無事にプロレスのリングに上がることができた。そして迎えた旗揚げ戦。会場は平日夜にもかかわらず超満員札止めの大盛況。メインの試合では元スターダムのジュリアと元WWEのSareeeがタッグながら待望の対戦をはたした。全6試合が行なわれた中で、風香は元アクト勢の試合をどのように見たのだろうか。

「正直、すごい手応えを感じました。足りないところもたくさんあったんですけど、今までやってきたことが通用するなって思いましたね」

とはいえ、アクトでのトレーニングがそのまま通用するわけでは決してない。マリーゴールドで闘うことにより、プロレス(再)デビューを控える元アクト勢もプロレスラーに加わり一緒にトレーニングをすることとなる。ここではやはり、プロレスとパフォーマンスの違いに戸惑った。

「アクトではダメなところは隠せばよかったんです。できないことはやらなければいいし、できるところを伸ばせばいい。今までは決め事としてやっていたのでそれでよかったんですけど、プロレスの試合となればどんなことにも対応できるようにならないといけないですよね。アクトの子たちからしたら、最初は苦手なところから始まったんです。だからきつかったと思いますよ。『(筋肉痛で)歩けない』と言ってた選手もいるけど、それがかえって楽しかったり、目はキラキラしてましたからね(笑)」

アクトでは公演のための練習をすればよかった。が、元レスラーの風香としては物足りなさもあっただろう。公演が増え、それがかえって練習不足にもつながってしまったという。それは、公演に必要な部分というよりも、体力をつけるためのトレーニングだった。

「レスリングができてないなと思っても、なかなかそこまで時間を割けられなかったりするんですよね。なので、マリーゴールドに来たらまずはその部分を強化しないと」

これまではパフォーマンス重視のトレーニングが優先された。風香が教えるようになってからは「よりいっそうプロレス寄り(の練習)」になっていたという。リング上でのパフォーマンスがプロレスをモチーフにしているだけになおさらだ。が、そこに風香はジレンマも感じていた。

「ほぼほぼ同じようなことをやっているのに、あの子たちはプロレスラーと言われなくて、プロレスで取り上げられない。ここからどうやって広げていけばいいんだろうとの不安はありました。なので、マリーゴールドに来た6人全員のモチベーションはすごく高いですよ。同じことをしてても、これからのほうがどんどん外に名前が出ていくと思います。つらい思いもしたけど、後悔している子はいないと思いますね。みんな、前だけを向いてます」

青野未来と松井珠紗は、プロレス活動停止によるアクト残留からプロレス復帰。13年7月にスターダムを退団した翔月なつみは21年11月にアクトで復帰し、これがプロレス再デビューの形になる。プロレス活動停止前にデビューしたCHIAKIは、カラーズ、アクトに続き旗揚げ戦がプロレス3戦目。22年2月にアクトデビューの天麗皇希と、同年8月にデビューの後藤智香は期待のプロレスデビューとなる。

「まずは小川さんにやられたなと思いましたね(笑)。青野の試合をアクトレスの一番最初に持ってきたんですよ。ここで青野すごいなって思わせる。(元アクト勢の)つかみはOKになりましたよね。初めて手を合わせた選手(石川奈青)ともあれだけできる。やっぱり彼女はプロレスラーなんだと思いました。そして最後に期待の皇希を持ってくる。試合順というシナリオがすごいなって。でも、皇希が舞台中ということもあって準備不足のところもありました。そこを除けば、そこまで何かが(他と比べて)劣っているようには見えなかったです。といってもレスリングという意味では技術不足でレパートリーが足りないなと。どの試合も同じことをしていたなと感じたので、そこが課題になりましたね」

6人全員がただ風香についてきたようにも見えた参戦希望の記者会見。しかし実際は、選手同士でのつながりはほとんどなかったという。

「私と青野も話したし、私と皇希も話したし、私と(翔月)なつみも話したけど、選手同士は誰もつながってなかったんですよ。だからみんなで来たんじゃなくて、小川さんに初めて会った日に、『え、アナタも(新団体に)行くの?』みたいな状態だったんです。なので、みんなと一緒だから安心して来たとかじゃなくて、それぞれが覚悟を持ってきたんですよね」

旗揚げ戦を終え、これからは元スターダム勢との試合も増えてくるだろう。そのための準備と練習がさらに必要だと風香は認識。アシスタントプロデューサーとしての手腕に期待したい。

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