天通合氣道の江崎禎英先生が、生徒の一人を呼び、
「今から彼に、私が伸ばした腕を両手で掴んで曲げてもらいます。彼は力が強いほうなので、私は抵抗ができません。でも、それは力で対抗するから負けてしまうのです。意識を違うところへ置くと、決して私の腕は曲がらなくなります」
と鉄の棒のようになったかのごとく、腕がまったく曲がらなくなりました。
さらに、両腕を二人がかりで曲げようとしても微動だにしません。
江崎先生は、腕をクルリと回すと若者たちは吹っ飛んでしまいました。
ならばと複数の生徒さんが先生に襲い掛かりますが、
みなさんコロンコロンと転がされてしまいます。
ここまで来ると、ドラマの乱闘シーンのようです。
「最近、世の中は物騒になりまして、刃物を持って襲われるなんて事件も出てきました。そんな時は、逃げてください」
えっ!! 逃げるの!? 倒すのではないんですか?
「私たちが学ぶのは武道です。生きるか死ぬかがかかってくるため、逃げる方が助かるのならば逃げてください。でも、逃げられない時のために武道の技を使ってください」
なるほど。究極の護身は逃げにあると。とても説得力があります。
「相手が刃物を振りかざしてきた時に、凶器だけを意識して動いたら、やられてしまいます。全身を見て、間合いを詰めるか、軌道に沿って避けるか、判断していくと制することができます」
実際に生徒さんが、暴漢役に襲われ、制する動きを実演。女性でも簡単に制することができました。
でも、鍛えていないみなさんはマネしないようにしてくださいね。
先生が言うように、逃げるが勝ちの場合もあります。
最後は先生が、両端が紙の輪でぶら下がっている竹を脱力により、一刀両断する見事な太刀さばきでフィナーレ。お見事でした。
お次は、セミナーで海外を飛び回る二重作拓也先生が、脳のイメージで技の威力が変わることをドクター視点で解説してくれました。
「腕をただ伸ばしているだけだと、上から押せばすぐに下がってしまいます。でも、腕が何メートルも先まで伸びているイメージを持つと、簡単には下がりません」
たしかに、イメージを変えるだけで強度が強くなった気がします。
「例えば、腕相撲もただ普通にやるのと、自分の腕が何メートルも長くなっているイメージでやるのでは、全然、違います」
二重作先生は、お客さんにも体験してもらい、実演しました。
これは、突きや蹴りといった技にも応用ができるようで、人体の不思議な力を体験できました。
武道MASTERS LIVEの最後は、総合武術鍛錬場 倉本塾の出番です。
おじさん(失礼)風の二人が、カジュアルな姿でひょっこりと並びました。
倉本成春先生は、遠くから鋭い視線を向けつつ弟子たちに任せているようです。
弟子の司会者が「これから素手で割る角材とヤシの実が観客席を回りますので、ぜひお手にとって確かめてみてください」とアナウンス。
どれどれ。手にとってみると、堅そうなヤシの実、分厚い角材が回ってきました。
これを素手で? 無理、無理。人間が割れる堅さではないです。
ヤシの実は、これです。
弟子の一人がおもむろにヤシの実を右手で取ると、左の手刀を叩きつけました。
コツン。
やはり、びくともしません。
無理ですって。しかも片手で持つなんて、力学的に困難ですよ。
すると、さらに手刀をコツン、コツン。割れません。
そうでしょう。もう、かなり手が痛いはずです。
と、その時です。ブシューっと、水しぶきがあがりました。
ヤシの実が、割れましたーっ!!
そして、のっし、のっしと、もう一つの固定されたヤシの実の前へ移動。
まさか……、また手刀を打ち下ろします。
コツン、コツン。ブシューっ!!!
この忍耐力と達成感には、笑うしかありません。
ヤシの実班が片付けをしてその場を去ると、今度は角材班が用意を始めます。
分厚い角材3本が次々とセットされていきます。
あれは、下手すると足の骨を折るのではと心配するほどの太さです。
そんな心配をよそに、もう一人のおじさん、
いや達人が1本目の角材の前へ立ちました。
下段廻し蹴り。角材は、真っ二つに吹き飛びました。
2本目は、裏拳。これも、軽く行っちゃいました。
3本目は、正拳突き。もちろん問題なく折れました。
ヤシの実おじさんも、角材おじさんも、達人の域を超えて、もはや怪人です。
ただただ唖然とする中、拍手喝さいです。
2時間に渡り、行なわれた武道MASTERS LIVE2018は、たくさんのお客さんが来場し、大盛況に終わりました。
興味のある武道がありましたら、ぜひ門を叩き、達人の技を習いましょう!!
チェストー!!