車いすボディビルで世界一 37歳パラアスリート・湯浅剛、“魅せるカラダ”を磨く理由とは




いかなる境遇に立つことになっても、スポーツへの愛が消えることはない。そんな情熱を全面に出し、湯浅剛(37)は舞台でエネルギッシュな姿を見せている。

【フォト】車いすで魅せたカッコいいカラダ 世界を沸かせた湯浅のステージ

彼は日頃、車いすバスケットボールで活躍するパラアスリート。並行して取り組んでいた車椅子ボディビルでは「第1回日本社会人車いすOPEN大会」(2024年8月)の初代王者となり、同年12月の「IFBB男子ワールドカップ」に日本代表として出場。メンズ車いすボディビルの部門で見事金メダルを獲得した。

学生時代は野球に打ち込み社会人野球で活躍する道も見えていたが、大学時代に行なったスキーで脊髄を損傷。車いす生活を余儀なくされた。その中でも前を向き、挑戦を続けたことが現在の彼をつくっている。車椅子ボディビルでの栄冠もそうした日々が引き寄せた勲章だと言えるだろう。

世界大会については「気持ちよかったです。日本人が世界で車いすボディビルに出場するのが初めてという中、世界の舞台を体験できて光栄ですし感謝でいっぱいです」と万感の思いを語った。

車いすボディビルは下肢に障害があり、車いすを使用しているすべてのトレーニング愛好者が参加できる競技。1分以内のフリーポーズを含むボディビルの規定ポーズで審査が行なわれる。日頃はバスケでのパフォーマンスを追求する彼だが、別軸で“魅せるカラダ”も磨いてきたと言う。

「コロナ禍でバスケの活動が停止した期間にボディメイクに興味を持ちました。車いすに乗っていると言い方は悪いかもしれないですが、『助けてあげないといけない存在』という印象を抱かれることもあると思います。みなさんの優しさに感謝しつつ、こういった境遇であってもカッコよく、エネルギッシュに活躍している姿を世界に見せたかったです」

湯浅と一騎打ちを見せたのは同じくパラアスリートである三浦浩。パラパワーリフティングで三度のパラリンピック出場(ロンドン、リオ、東京)をはたしており、車いすボディビルでは2024年6月に「第5回金沢市ボディビル・フィットネスオープン大会」で優勝。「第1回日本社会人車いすボディビルOPEN大会」では湯浅に次ぐ準優勝を飾っている。

そんな三浦と湯浅の一騎打ちは会場を盛り上げ、大きな感動を与えた。観客を引き込むようなパフォーマンスを披露した湯浅は、筋トレに取り組む理由について思いを語ってくれた。

「筋トレは健康も生活もプラスに変えてくれるものだと思っています。マインドもポジティブになりますし、結果が見た目で感じられるところも魅力的だと思います。変わっていく自分が好きになれる感じですね」

ボディコンテストでも輝きを放つ湯浅。挑戦心と競技愛を旗印にし、今後も挑戦を続けていく。

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