VITUP!副編集長の木村です。
すっかり涼しくなって、半袖は肌寒いな……と感じた今週、ウィルチェアーラグビーの島川慎一選手の取材に行ってきました。記事は10月に公開予定なので少々お待ちいただきたいのですが、今回の取材場所はお台場にある日本財団パラアリーナ。まだ知らない方も多いかもしれませんが、今年6月にオープンしたばかりのパラスポーツ専用体育館です。
すべてはパラアスリートが快適に過ごせるために……と言わんばかりのこの施設。完全バリアフリーで、エントランスから体育館、会議室、トレーニングルームに至るまで段差はなくすべてがフラット!!各部屋の扉は全てスライド式で幅も広く、とにかく移動がスムーズなんですね。
2,035㎡と広々。車いすバスケットボール、ウィルチェアーラグビ、ボッチャ、ブラインドサッカーなど各種パラスポーツ用のコートラインが引かれており、各種用具も完備。コート表面は特殊なワックスをしようしたコーティングが施されており、車いす競技の激しい動きによる床の損傷を防げるようになっています。
……と書いていくと、施設の回し者みたいに紹介ばかりして終わってしまいそうなので、詳しくは施設ホームページ(https://www.parasapo.tokyo/paraarena/)をご確認ください(笑)。
取材に応じていただいた島川選手は、
「東京という日本の中心地にこういう施設ができたことで、これまで各地に散らばっていた仲間と一緒に練習ができる機会は増えたし、競技力の強化にもつながる本当に大きなこと」
と語っていました。
都内には体育館はいっぱいあるし、そこで練習すればいいじゃないか?
と思う方もいるかもしれませんが、バリアフリー化された施設はそこまで多くないのが実情です。また、ウィルチェアーラグビーや車いすバスケットなどは「床が傷つく恐れがある」という理由で貸し出しを断られることもあるそうで、本当に残念なことだとは思うのですが施設管理者側の気持ちもわかります。そういった話を聞くと、まだまだ日本では誰もがパラスポーツを楽しめる環境には程遠いなと感じざるをえません。2年を切った東京パラリンピックも本当に大丈夫なのか、と思わざるをえません。
2012ロンドン大会では、オリンピックよりもパラリンピックのほうが盛り上がっていたと言う日本人の方の声を聞いたことがあります。
以前に別媒体で車いすバスケットの藤本怜央選手に取材した際には、ドイツのクラブチームの試合ではアリーナに2万人以上が集まると言っていました。
果たして、日本もそのような環境になる日はやってくるのか?
メディアという立場から、何とかその環境を少しずつでも変えていける方法を模索したい……と思う次第です。今回取材したウィルチェアーラグビー日本代表は、8位に終わった初出場のアテネ大会から毎回順位を上げ、リオでは初のメダルとなる3位。今年8月の世界選手権では初優勝を果たし、もっとも良い状態で東京大会に臨もうとしています。
本サイトの主旨とは少し外れますが、まだ観たことがない方は、ぜひ一度パラスポーツを観てみてください。そこには、通常のサッカーや野球とは全く変わらぬ興奮や感動があります。
最後に、話を戻しますと。
パラアリーナ内のことはホームページにも書いてあるし、他のメディアにもいっぱい書かれています。でも気になったのはこの自販機。アリーナの外と、中に置いてあります。
ご覧のように、“最上段だけ”直接押さずに下段近くのボタンを押すことで買えるようになっているんですね。言わずもがな、車いすの方が買いやすいようになっているのです。もしかしたら他の場所にもこのタイプは置いてあるかもしれませんが、私は初めて見ました。こういった小さなことは本当に大切。この自販機を発見できたことが、ある意味今回の取材で一番大切だったかもしれません。
1986年11月20日、愛知県出身。千葉県鎌ケ谷市で学生時代を過ごし、柏南高校を経て獨協大学へ。IT企業に就職後、2015年4月にライトハウスに入社。スポーツの書籍の編集、エンタメ誌の記事執筆などを行う。
Twitter→@Caesar17_yk