【My Training Life】Vol.01 増井翔子(「超鰹力」営業マン)




アスリートから一般のトレーニーまで、それぞれのトレーニングとの向き合い方を紹介する連載「My Training Life」。今回は、別記事でも紹介した「超鰹力」の営業として活躍する増井翔子さんのトレーニングライフに迫る。

パワーやエネルギーのあるところに人は集まる。それを絵に描いたような人、それが増井翔子さんだ。「超鰹力」の営業マンとして活躍する彼女は、まさにその素質に溢れている。アメリカの高校に通い、大学時代はバックパックでヨーロッパを放浪した影響も大きいかもしれないが、真の人生の転機となったのは、高知県との出会いだった。

「日本酒が大好きで、高知のお酒を東京で飲んだ時にあまりにおいしくて、お酒を飲みに高知へ行きたい!と思ったんです。そこで、フラっと高知に一人で旅行に行ったんですけど、“異国だなぁ”と思ったんです。なんかラテン系みたいな人ばかりで、パーソナルスペースにずかずか入ってくるというか(笑)。私はそれがすごく楽しくて、知らない人たちと大宴会して、居心地が良くて。あぁ、ここに住んでみたいなぁと思ったんです」

東京でOLをしていた増井さんは、その後、イベントをきっかけに高知での仕事が決まり、移住を決断。市役所で「地域おこし協力隊」の一員として働きながら、夜は高知県土佐市宇佐町の小料理屋で働くことに。

学生時代に寿司屋で働いた経験を生かして料理を振る舞い、お酒を飲みにやってくる地元の人々と交流を深めた。そこで吉永鰹節店の代表取締役・吉永晃生さんと知り合い、「超鰹力」の開発、発売にこぎつけるなど、高知に来て数年で彼女の生活はトントン拍子に変化していった。いつしか「みんなのアイドル」(吉永さん談)というほどの人気者に。

左が増井さん、右が吉永社長

そんな彼女のライフワークとして定着しているのがトレーニングだ。もともと学生時代はバスケットボールなどのスポーツはしてきたが、「OL時代はたまにジムに行く程度で、今日は10回やろうかな~っていうくらい」だったと話す。ところが、高知に来て少し状況が変わった。

「元気クラブという、ゴリゴリのジムが土佐市にあって。来る人はみんなすごい人たちで、県外からもこのジムに来る人もいるんです。ジムの経営者さんとすごく仲良くなって、誘われて行ってみることにしたんですけど、やっぱり最初は怖かったですね。ゴリゴリのマッチョしかいないので(笑)」

しかし、そこで出会った人から親身な指導を受けることで、意識も体もどんどん変わっていった。

「最初はスクワット、ベンチプレス、デッドリフトのビッグスリー中心だったんですけど、重量が上がっていくのが快感だったんです。筋トレしないとイライラしちゃうくらい(笑)。次第に違う場所も鍛えたいと思ってきて、ランジとかブルガリアンスクワット、プルダウンもやって、ヒップスラストとかも。どちらかといえばお尻とか下半身に効くのが好きですけど、とにかく、あるもの全部やろうという感じですね」

以前は週に3度、ジムに通っていたが、現在は「超鰹力」の展開により出張が増えるなど多忙を極め、週に2回と頻度は減っているという。それでも継続することは大切だ。果たして、彼女はトレーニングをする先に何を目指しているのだろうか?

「何もないですよ(笑)。あえていうならストレス解消? 翌日の筋肉痛が快感なので。食事も制限して、減量しているトレーニーの方も周囲にいて彼らを尊敬しますけど、私はそこまではいいかな。食べたいものを食べて、好きなお酒を飲みたいだけ飲んで。お酒を飲むために筋トレしているようなものですよ(笑)」

そんな彼女は今年、一つの大きな野望を達成することになるという。

「クラウドファンディングでお金を集めて、10DKの一軒家を買って、中をみんなで改装して、10月に宇佐にゲストハウスをオープンさせる予定なんです!この町は宿泊するところが少ないから、県外からやって来た方がその日に帰っちゃうのがもったいないなぁと思っていて。本当にこの町の方々には何度助けられただろう……というくらい、温かくて素敵なんです。オープンしたあかつきには、高知のおいしい鰹とおいしいお酒を振る舞いますので、ぜひ高知にいらしてください。」

東京を離れわずか2年で、すっかり「高知の女」になった増井さん。彼女のパワー、エネルギーは今後も拡大し続け、宇佐を飛び出し、その存在は多くの人に活力を与えるものになっていくはずだ。

普段トレーニングを行う元気クラブの前で

取材・文/木村雄大 インタビュー写真撮影/須崎竜太