「スポーツ×音楽」の素敵で意外な効果とは? 甲子園で演奏、プロレステーマ曲が話題に




この春、甲子園でのちょっとおもしろい現象が話題になっている。

それは春のセンバツ・1回戦に登場した神戸国際大学付属高校の応援歌がプロレステーマ曲一色、というあまり聞いたことがない状況になっており、テレビ観戦していた人たちが「これはすごい!」とSNSが異例な盛りあがりを見せたのである。

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以前からアントニオ猪木のテーマ『炎のファイター』(イノキボンバイエ)は甲子園での定番ソングだったが、今回は橋本真也の『爆勝宣言』や武藤敬司の『HOLD OUT』、内藤哲也の旧テーマ曲『スターダスト』に三沢光晴の『スパルタンX』など、平成のマット界を彩った、もう少し若い世代の楽曲が次から次へと演奏されている。いろいろな曲の中にプロレスのテーマ曲が混ざっているのではなく、あくまでもプロレスのテーマ曲が演奏のメインになっているので「前代未聞!」「面白い!」と話題になっているのだ。

もともとプロレスラーの入場テーマ曲は、各選手のイメージに合った既存の曲をテレビ局や団体サイドが用意していたが、最近では選手からの要望を取り入れてオリジナル曲を製作するのが主流となってきている。

どちらにしても、選手の入場時に客席がひとつになって手拍子をしやすいもの、そして「イ・ノ・キ!」や「ム・ト・ウ」のように選手のコールを叫びやすい曲調が大事。それを考えたら、選手の名前をコールする高校野球の応援歌にプロレスのテーマ曲がピタッとハマるのは当然のことでもあるのだ。

もっといえば、入場テーマ曲というのは当たり前だが、これから闘いに挑む者のために流されるわけで、勝利を目指す勇壮なメロディーが多い。そんな楽曲が流れてきたら、バッターの気持ちも燃えあがるのは必至(対戦相手のピッチャーが熱狂的なプロレスファンだった場合、逆にパワーを与えることになってしまうかもしれないが……)。高校野球とプロレステーマ曲の意外なマリアージュは、じつはベストマッチだった。

NHKから流れてくるプロレステーマ曲というカオスな状況に「高校野球にはあまり興味はないけれど、楽曲を聴きたくて観ている」というプロレスファンが全国に出没するという春のセンバツでは前代未聞の珍現象も。監督が大のプロレスファンだったことから実現した“神選曲”だったようだが、トップアスリートが競技前に好きな音楽をイヤホンで聴いて集中するケースと同様に「スポーツと音楽」の素敵で効果的な関係性を示してくれた。

惜しくも神戸国際大学付属高校は1回戦でサヨナラ負けを喫し、甲子園を去ったが、これからも「プロレステーマ曲効果」に注目したいところだ。

文/小島和宏