筋トレ専門家&愛好家だからこその筋肉体操語録「本気で取り組んだときに発する言葉こそ、生きた掛け声になる」




「筋肉体操」は、誰にでもできる筋トレのメニューを提供するだけでなく谷本道哉教授が発する言葉も含めたコンテンツである――。「ツラい」から「楽しい」へ導くその言葉が誕生した裏にはどんな秘話が眠っているのか。深掘りしてうかがっていく。

【動画】順天堂大学 谷本道哉の筋肉体操3種目 

――動画内で発する谷本先生の言葉は、まるでコピーライターが考えたような、心に残るものばかりですね。
「僕自身、もともと糸井重里さんが好きで、キャッチコピーみたいなものを考えるも好きなんですよ。その影響はあるのかなと思います。ただ、語彙力が豊富で創造力が豊かな、憧れの糸井さんですが、筋肉体操に合う声掛けを生み出すのは難しいかもしれません。なぜなら、おそらく糸井さんは筋トレにのめり込んでいる方ではないからです。実はすごい筋トレマニア!だったら申し訳ありませんが……」

――そこはやはり筋トレの専門家である谷本先生だからこそ。
「筋トレの研究者であり、かつ愛好者ですから(笑)。いかに効率よく高い効果を得られるかを考えながら日々筋トレに取り組んでいるからこそ、ひらめきが出てくるときもあるし、トレーニーに響く言葉をつくることができているのではないかと思います」

――実際にこれまで制作された筋肉体操では、TV番組ということもあり事前に台詞を用意して収録に臨んでいましたか?
「はい、もちろん台詞は事前に作ります。でも、実践しているうちに変わる場合もあるんですよ。事前に台詞をつくるときも、筋トレを実践しながら考えていますが、本番の収録で実践していると、その時のテンションのためでしょうか、作ったときと動きに対する感じ方が変わることがあります。それで、ちょっとした言い回しや語尾が変わったり、全然違う台詞が勝手に飛び出てくることもあります。生きた言葉を生み出すためには、やはり実際にトレーニングをやってみることが大切なのだと実感しますね」

――アドリブで言葉が出てくることもあるんですね。
「はい。『浅いスクワットは、浅はかなスクワット』なんかも、用意していた言葉ではなくて、番組の収録中にふと出てきた言葉でした。口から出た台詞を、耳で聞いて認識しているというか、脳で認識するより先にしゃべってるみたいな(笑)。真剣に実践してるからこそ、勝手に出てくる!ということにしましょうかね(苦笑)」

――用意された言葉ではなく、血が通った言葉だからこそ、語録として響くような言葉になるのではないかと思います。
「これを読んでいる皆さんも、僕の台詞を真似してくださるのは大変ありがたいのですが、ぜひ筋トレをしながら声を掛け合って、新しい生きた語録を生み出してください(笑)。言葉をつくることを狙うよりは、本気で取り組んだときに自然に出てくる言葉こそ、生きた掛け声になると思います。ぜひこの記事のコメント欄で教えてください。もしかしたら、お借りして次のメニューのときに使わせていただくかもしれません(笑)。その状況にならないと見えない景色というのがあると思います。僕が想像もつかないような言葉が出てくるのを楽しみにしています。トレーニングの研究者なのか、コピーライターなのかよく分からなくなってきましたね(笑)」

――“みんなで”筋肉体操という意味では、みなさんからの語録が集まるとより楽しくなりそうですね。
「筋肉体操はもともと、NHKの『みんなの体操』のオマージュというコンセプトではじまったものですからね。そんな存在になっていけばいいと思います。ちなみにこの『筋肉体操』という名称ですが、かなり広まってきたので、商標登録などはせず、一般名詞として誰にでも使用していただければと考えています。番組制作班も同じ考えです。番組の担当ディレクターの勝目さんという方が名づけられた『手軽で・身近で・それでいて本格的!』なニュアンスのある、そして、少しユニークでクスっとくるとても良いネーミングだと思います。“筋肉体操”、この名称をどんどん使っていただけると嬉しいです。筋トレがより『親しみやすく身近なもの』になるかと思いますので、著作権フリーでご自由にお使いください」



(続く)

【プロフィール】
谷本道哉(たにもと・みちや)
1972年、静岡県出身。大阪大学工学部卒業、㈱パシフィックコンサルタンツ勤務を経て東京大学大学院総合文化研究科博士課程修了。順天堂大学スポーツ健康科学部教授(筋生理学、トレーニング科学)。『筋トレまるわかり大事典』(ベースボール・マガジン社)、『スポーツ科学の教科書』(岩波ジュニア新書)など著書は多数。NHK「みんなで筋肉体操」「筋肉アワー」「ニュースーン」、テレビ朝日「モーニングショー」などで運動の効果をわかりやすく解説する講師としても活躍。座右の銘は「人は変われる」

インタビュー/木村雄大