他者からの評価にとらわれ、フィットネスを通じて「何者か」になろうとし続けた仲座大貴さん、さみらさん夫妻。パーソナルトレーナーとして働く傍ら、ボディコンテスト選手としても活躍した。その中で妻・さみらさんには忘れられない出来事がある。
【写真】仲座さん夫妻がおもてなし 高級ホテルのようなジム内観
過去にモデルを志していたさみらさんは、理想の体型を目指すあまり、摂食障害を患った経験があった。その後ボディメイクに出会い、コンテストにのめり込む中でも心身に不調を感じることがあったが、理想を追い求めてステージに立ち続けた。
無理な減量など、負担を抱えながら休む勇気がなかったというさみらさんは、2023年8月に倒れてしまい、搬送されることに。これを機に大会のステージやSNSでの発信から身を引き、本当に自分やクライアントが必要とするフィットネスの形を模索し始めた。
そうした経験を経て、夫婦で4月27日に開業に至ったのが、『LOX.TOKYO』だ。このジムにはさみらさんはもちろん、かつてコンテストプロ選手、フィットネスインフルエンサーを目指し、心を病みかけた大貴さんの思いも詰まっている。
「このジムは『体を根本から整える』がテーマです。重量を扱ったり、かっこいい体をつくるトレーニングだけでなく、自律神経の解析や血液検査、栄養分析など体の根本からアプローチします。内装や香り、音楽にもこだわっているのは、フィットネスを通じて非日常を提供したいからです。『フィットネス=日常』になっている人も多いと思いますが、自分たちが目指すのはその逆です。特別な空間・時間で体を整えて、ジムで元気になって帰ってほしい。そういう願いを込めて開業しました」(大貴さん)
ジム内を見渡すと、充実した機材はもちろんのこと、まるで高級ホテルのようなインテリア、内装にも目を奪われる。クライアントを「ゲスト」と呼ぶ姿勢が象徴するように、来た人をおもてなしすることがジムの根本的なスタンスとなっている。
パーソナルジムのため、基本的にはクライアントの要望に合わせてメニューを設定する。トレーナーと理学療法士が在籍しているため、ボディメイクから身体機能の改善、ダイエットなど様々なニーズに対応可能だ。さみらさんがピラティスインストラクターの資格を有しているため、ピラティスにも本格的に取り組める。
取材の中で、ジム独自の取り組みである自律神経の測定を見せてもらった。これにより慢性的な疲労度などが測定でき、クライアントの心身の状態を把握することができるという。

「寝られなかった人がここに来て寝られるようになった、喋らなかった人が喋るようになった、とか。そういう変化もアプローチによっては可能だと思っています。ジムを開業するにあたって、長く愛されている商業施設などにも足を運んでみました。インテリアやおもてなしの工夫など、居心地のいい空間とは何かを学んで、取り入れることも大切にしています」(さみらさん)
紆余曲折あったふたりだが、一から自分と向き合ったからこそ、あらためてフィットネスに魅力を感じていると言う。
「ボディコンテストで成績を残したり、競技で記録を更新することも大きな喜びだと思います。ただ、今の私にとっては、フィットネスを通じて自分と向き合えることが喜びですね。どの世界も悪いわけではないし、どの世界も本当にそこにあるだけで、良し悪しをつけるものでもないと思います。ジムに来てくださる方々には、自分に合ったフィットネスの形を見つけるお手伝いができたらうれしいです」(さみらさん)
「フィットネスはただ体が変わるだけではなくて、人間の本質を学べると思います。僕は人からの評価を気にして生きてきたぶん、『人から評価されずに生きてもいいんだ』という気づきにもつながりました。妻もですが、誰かからの評価が自分の存在意義だと思っていた部分もあったので。今はそこから離れてフィットネスの在り方を見直して、本当の意味で、フィットネスを通じて人生が変わったと言えるようになりました。自分が培ってきたことを通して、クライアントさんに元気になってもらいたいです」(大貴さん)
苦悩した経験があったからこそ、仲座さん夫妻は自分たちに合ったフィットネスの形を追求した。その中で生まれたこのジムは、多くの人に気づきを与える場所になるはずだ。






