【ちびめがメガネ】鈴木雅不在の大会、新王者になるのは果たして?~10/14(月・祝)開催 日本選手権プレビュー~




注目のボディビル・フィットネス大会のポイントやみどころを、観戦マスターのちびめがが語るこのシリーズ。残念ながら「全日本学生ボディビル選手権大会」は台風の影響で中止となってしまいましたが、明日は「日本ボディビル選手権大会」がメルパルクホール東京で開催されます。初開催の「JBBF FITNESS JAPAN GRAND CHAMPIONSHIPS 2019」も含め、注目のポイントを話してもらいました。
※取材は10/10(水)に行なったため、代替開催となった学生大会については触れていません

安井友梨の戴冠は間違いなし?

――まずは、今年新設された「JBBF FITNESS JAPAN GRAND CHAMPIONSHIPS 2019」からお聞きします。8/31・9/1に開催されたオールジャパン選手権のオーバーオールという立ち位置の大会ですね。

オールジャパン選手権から1ヶ月以上空いてのオーバーオールというのは、とても面白い試みだと思います。選手のみなさんは大会に向けて自分のベストの体を作り上げてくると思いますけど、今回は一度お互いの体を見せ合っているわけですから、他の選手との比較も研究したうえで調整してくる選手もいるのでは。なので、オールジャパンの時とは見違えた身体で出場する選手もいるんじゃないかと期待しています。

――メンズフィジークは今回、エントリーが13人です。

人数が多くないということもありますが、昨年のオーバーオール進出者である小泉憲治選手、田村宜丈選手、寺島遼選手はもちろん注目です。今年のオールジャパンで小泉選手に競り勝った直野賀優選手も大注目で、なかなか本命を絞りにくいです。ただこれはどの種目にも言えることですけど、隣に並ぶ選手が変われば結果も変わってくることは当然あると思います。

――個人的に注目している選手などはいますか?

関口貴夫選手ですね。2013年だったかな、寺地進一選手が優勝した関東クラス別ボディビルに出ていて関口選手は3位だったんですけど、「こんな人が千葉にいたんだ!」とビックリしたんです。最近ではフィジークもバルクがある選手が強い感じもあるので、同じくボディビル出身の加藤昌平選手も食い込む可能性も。

中央が加藤昌平選手、その左が田村宜丈選手、右が関口貴夫選手(91/オールジャパン選手権)

――女子のビキニフィットネスは、打倒・安井友梨がキーワードになるかと。

だと思います。ダンシーあずさ選手、小谷野彩香選手、尾川みどり選手、倉畑優奈選手が対抗馬になるかと。ただ、少しタイプが違うバキバキの澁谷美和子選手も「おおっ!」と思うはずなので対抗馬だと思います。大脇朋香選手は身長が飛び抜けていてフレームも大きくて存在感もありますし、ステージングもとてもうまいので期待したいですね。ただ、世界を見据えている安井選手の完成度はとても高いはずので、他の選手は「圧倒的に良い」というインパクトがないと、なかなか安井選手の優位は堅いかなとは思います。

――そういう意味では、ボディフィットネスは絶対的存在と言える選手がいないので、予想は難しいけど誰が優勝するかの楽しみは大きいと思います。

金子真紀子選手を中心に、アジア大会や世界大会に出場した矢野かずみ選手や小柳久美子選手あたりが優勝候補かなと。漆島美紀選手も、個人的には去年の北区オープンで見て驚いた存在なので注目しています。ただこの部門に関しては、正直、関東以外の大会をあまり生では見ていないので、予想が外れたらすみません(笑)。

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鈴木雅の不在で本命の横川尚隆に
百戦錬磨のベテラン勢が食ってかかる

――ついに今年の大一番です。その前にジュニアから。今年は、去年の泉風雅選手のような絶対的存在は不在な印象です。

そうですね、どの選手にもチャンスはあると思います。関東学生選手権で2位の五味原領選手が頭一つ出ているのではと思っています。

――やはり今年のブロック大会などで結果を残している選手が上位に食い込んできそうだと。

鈴木優之選手は昨年のジュニアで泉選手や榎本星矢選手に続いて3位だったので、上位にくる可能性は高いと思いますね。あとは谷野義弘選手の息子、谷野大地選手。去年の東京選手権のジュニア優勝者です。まだボディビルをはじめて2年なんですよ。最近見ていないので、どこまでデカくなっているのか楽しみ。その他にも、東将治選手や、了徳寺大学出身の角本惇選手も注目しています。

――続いて、女子フィジーク。本命はやはり澤田めぐみ選手ですか?

そうですね。そこに、ミス東京を獲って日本クラス別選手権では澤田選手に続き2位だった佐藤英己選手、日本クラス別選手権163cm超級で優勝した高原佐知子選手あたりが上位に絡んでくると思います。澤田選手と高原選手は階級が違い、昨年は高原選手が出場していないので、2人が並んだときにどう見えるのかをとても楽しみにしています。女子は背が高いと長細く見えがちなんですけど、高原選手はバルクもあって肌の張りもすごく良かったので、背の高さを生かして迫力を出していけると思います。

中央が佐藤英己選手(8/25東京選手権)

――やはり並んでみた時の印象が大切になってきますね。

逆に143cmと身長は低いですけど実績のある橋木明子選手や、清水恵理子選手も注目です。さらに日本クラス別には出場していないですけど腹筋がバッキバキの阿部優花さん、9月のジャパンオープン・女子フィジーク優勝の村山綾乃選手も勢いがあります。30代前半の2人の若手がどこまで食い込んでいくか。

――さぁお楽しみの?ボディビル部門。一番のトピックは、9連覇中の鈴木雅選手が欠場することですね。

個人的にはその話を聞きたくないくらい悲しいのですが……。でもチャンスは広がりますし、逆に面白くなったんじゃないですかね。雅選手もですが、昨年のファイナリストの中では、山口裕選手、小松慎吾選手が出場しません。この空いた3枠に、誰が食い込むか?が見どころ。

――予想は?

まず、日本クラス別で昨年8位の須江正尋選手より上に立った相澤隼人選手は入ってくるでしょうね。あと、同じく日本クラス別で、昨年6位の木澤大祐を超えるんじゃないかと思うぐらい良かったと個人的に思った佐藤茂雄選手。もう一人は難しいですけど……嶋田慶太選手かな。今年はとても調子が良さそうで、ジャパンオープンも日本クラス別の75キロ級も優勝しています。

――鈴木雅選手が不在のため、新王者誕生となりますが、やはり順当にいけば横川尚隆選手ですか?

順当にいけばそうですね。ただ気になるのは、彼がどのあたりを見据えて大会に臨むのか。以前に話したときに、「雅さんに勝ちたい」という思いが一番の思いだったようなので。そういう意味では“世界”というところへの興味はそこまで強くない感じがしたので、もし優勝した場合、その先の動向は気になるところです。ただ、周りは優勝すると思っているでしょうから、本人のプレッシャーは相当なものだと思います。逆に1位にならない波乱が起きたら、優勝以外の順位も大波乱と思いますけどね。

――そうなる可能性は十分にあると思いますか?

あると思いますよ…希望込みということで(笑)。雅選手が不在で他の選手も、「俺が獲ってやる」と思っているでしょうし。それに横川選手にしても、パーフェクトではないと思わせる部分があると思っています。バルクと勢いできているブルドーザー型というか。やはり雅選手と比べると、リラックス時に「ちょっと緩くない??」って思う時もあるんですよね。ただ、ステージ上でポーズをとると抜群に良いのでさすがなんですけど。

――今年のもう一つのトピックとしては、日本クラス別選手権が世界大会の選考大会となったことで、これまで日本選手権一本に絞っていた選手の多くが例年より早く大会に出場し、3週間空けてのこの舞台となります。この影響は?

うーん、そこまで影響ないんじゃないですか? みなさん百戦錬磨の方々なので、そこは問題ないと思いますよ。もしその影響が出てしまったとしても、それを言い訳にするような選手たちではないですし、言いたくないと思います。

――なるほど。他に気になる選手は?

竹之内正選手と、ジュニアに出場する竹之内将慶君は親子なんですよ。親子で出場するのは唯一じゃないですかね? 息子さんのジュニアの結果によっては、お父さんはかなり踏ん張るんじゃないかと(笑)。

――ちびめがさんだからこその情報、ありがとうございます(笑)。

たぶん親子だって情報はそんなに出てないと思うんですよね。でもいろんな大会を見てると、「あ、一緒に会場へ来てる!」とか思って気付くんですよ(笑)。確か、奥様もどこかでビキニで出場しているはずです(※)。こういうのは、いろんな大会を見てないとなかなかわからないですよ!

(※後日確認したところ、関東オープン選手権大会のビキニフィットネス・163㎝以下級に出場していた竹之内美由紀でした)

――ステージ上の闘いを楽しむのもいいですけど、そういったところも見て楽しめるわけですね。

はい、だからこの日本選手権に限らず、ぜひいろんな大会を見にいってほしいです(笑)。

取材・文/木村雄大
写真/高野明喜(インタビュー)、木村雄大(競技)

★大会の詳細はJBBFホームページをご確認ください