天地・大自然にみなぎっている、万物の生命力や活力の源となる気のこと‟浩然の気”と言います。願わくば、私たちのカラダもその気と一体となり、いつも全身から生き生きとした輝きを放っていたいものです。しかし、仕事のストレスや運動不足などによって、その輝きはどんどん鈍くなりがちです。また、現在のような外出自粛という状況下では、心身ともにエネルギーが減退していることも予想されます。一般的に疲れは顔に表れるものですが、じつはカラダもいたるところに‟表情”を隠し持っています。ある部位の表情が冴えないと、それは全身のバランスを欠くことになり、生き生きとは言えません。セルフケアでバランスを整え、‟カラダ美人”を目指しましょう。
「自分のカラダのことは自分が一番わかっている」とよく言われます。私は、それは半分正解で、半分は不正解だと思っています。
実際、日々施術に向き合っていると、「今日は普段より調子がいい」と言う方も少なくなく、それはカラダの微妙な変化、すなわち自身のコンディションをしっかりと感じ取っているということでしょう。これが半分正解の理由。
一方で、その方のカラダを丁寧にリリースしていくと、ある部位で不意に痛みを感じられたり違和感を覚えられたりすることも少なくありません。なぜなら、ヒトのカラダというのは、日々の生活環境(活動)の中で知らず知らずのうちにねじれや歪みが加わって、それが正しいポジションだと思い込んでしまっているケースが多いから。
いわゆる気づかないうちに育まれていた“弱点”を、第三者の手によって指摘されたことで、初めて気づくというパターン。これが半分不正解の理由です。
実際、私自身のことを振り返っても思い当たる節はたくさんあります。私の場合、施術している立ち姿が常に右かかと重心になっていて、いつの間にかそれがカラダの癖になってしまっているのです。
ただ、こういった仕事柄、ふと我に返ることもたびたびあり、そういった時にはすぐ“軌道修正”するよう心がけてはいるのですが、施術に熱中するとまた元通りになってしまっている。しかし、また気づいて軌道修正する…。
じつは、この繰り返しで、ゼロ(正しいポジション)とマイナスとの間を、まるで意識と無意識とが綱引きのように行きつ戻りつしていると言えるかもしれません。
したがって、もし気づきがなければ、まるでグラデーションがかかっていくように負の要素を背負っていき(=マイナス要素がカラダにじわじわと染み込んで)、結果的に、それがカラダの基本になってしまっているということなりかねないのです。
ヒトは、日々の生活習慣や仕事の活動内容によって、次第にその環境に“身”も“心”も慣れ親しんでいくもの。慣れ(前記でいうところのグラデーションがかかっていく状態)というのは、自分自身がその環境に身を置いた時、最も居心地のよい状態です。
ところが、その一方で居心地のよさというのは、ヒトのカラダに“一長一短”をつくり出していることもまた事実であると言えるでしょう。
山本康子(やまもと・やすこ)
鍼灸師、あん摩マッサージ指圧師、コンディショニングセラピスト。施術キャリアは30年。日本代表チームのトレーナーとしてトップアスリートのボディコンディショニングを手掛けてきた。その間、約6年に渡り外国人トレーナーと共にヨーロッパなど各地を転戦した経験によって、日本にはないスピリットを強く感じ、施術テクニックはもちろんのこと、人として現在もなお進化すべく努力を続けている。2004年に、アー・ドライ治療院、2013年に筋膜リリース専門のスカンディックケアを開業。施術者の育成と労働環境整備にも力を注ぐ。
Scandic care (スカンディックケア)
〒162-0056 東京都新宿区若松町10‐1 YSビル2 F
Tel. 03-3208-2543
Mail:info@scandiccare.jp
営業時間:平日. 11:00 ~ 21:00、土日祝. 11:00 ~ 20:00
公式HP
アー・ドライ治療院(新宿区)
ホームページ未公開。2020年3月現在、新規受付はできない状況です。スカンディックケアにお問い合わせください。
取材/光成耕司