新型コロナウイルス感染拡大防止のため、ジムや大学が閉鎖されてきたここ数ヶ月。果たしてトレーニングに勤しみ、ボディビルやパワーリフティングでの躍進を目指す学生たちは、この活動自粛期間をどう過ごしてきたのか? 緊急事態宣言も解除となりに明るい話題も増えているなか、各大学の主将や中心メンバーにインタビューを実施。今回は国際武道大学パワーリフティング部主将の滝翔貴君(3年)に話を聞いた。
パワーリフティングは今からはじめても結果が出る競技
――まずは部の活動について教えていただけますか?
滝:今は4年生が1人、3年生が2人という形で活動しています。普段は大学のトレーニングルームに集まって活動しているのですが、基本的には週に4日、月火木金を活動日としていて、授業が終わったあとの夕方4時半から9時半頃までトレーニングをしています。とはいえ体調や都合などもあると思うので、無理にやろうとはしていませんし、逆に部としては休みの水曜や土日にトレーニングするときもあるので、自主性を重視した活動となっています。
――競技としてはパワーリフティングが多いですか?
滝:そうですね。今年卒業された先輩がボディビルをやりたいと言っていたこともあり、そのときからボディビルやフィジークを目指す人も何人かいますが、基本はパワーリフティングが多いです。
――この数ヶ月は部としての活動も自粛を余儀なくされてきたかと思いますが、この間はどのようにトレーニングを継続していますか?
滝:3月の後半に大学へ立ち入り禁止となり、そこからはそれぞれが自宅でのトレーニングとなっています。僕の場合はダンベルなどが家にはないので、自重を使ったトレーニングを中心にして、アブローラーを使った腹筋のトレーニングなどで、やれる範囲のことをやるという感じです。YouTubeで自宅でできるトレーニング方法を探しながら、どうやったらもっと効くのかなど、工夫して考えることができるようになったり、新たな気づきがあったりしたのはプラスになったのかなと思います。
――とはいえジムでのトレーニングに比べると、やはり物足りなさを感じるのでは?
滝:そうですね。これまでは曜日ごとに部位を分割してトレーニングを行なっていたのですが、自宅での自重トレーニングだと一つの部位をパンプさせるというのは難しいなと感じていたので、分割せずに全身を鍛えるイメージで行なっています。ただ正直、全然物足りないですね。特にスクワットだと、ジムでは200キロ前後の負荷でこれまではやっていたので、早くジムでのトレーニングに戻りたいと思っています。
――なかなかモチベーションを維持するのも大変ですよね。
滝:やはり5月に予定されていた関東学生パワーリフティング選手権大会が中止になったこともあり、かなりモチベーションとしては落ちました。ただモチベーションの低下よりは、今は不安が大きいなという感じです。トレーニング環境が戻ったとしても、これまで通りのコンディションに戻すことができるのか…という。あとは、この期間の活動というのは新入生勧誘のためにも大切なので、それができない不安もあります。
――やはりブランクの影響は少なからずあると。
滝:トレーニングが再開できたとして、まずは感覚を取り戻すところからのスタートになると思います。4ヶ月くらい期間が空いてしまったので、筋力の衰えもあると思いますし、活動自粛前と比べると体の柔軟性も変わっていると思います。そこに関しては、やはり元の重量を持ってみないとわからないんです。バーベルを持ってしゃがんでみたら、体幹が弱くなっていて前につぶれちゃう……ということもあると思うので、そういう感覚を修正していく期間が、まずは再開後に待っていると思います。
――ちなみに、活動再開の目途は?
滝:少しずつ大学に行っても良くなるようですが、部活動がOKなのかなどは確認しているところなので、まだちょっとわからないです。他大学の人だと民間のジムも利用が再開となってそこでトレーニングしはじめている人もいるようですが、大学が千葉県の勝浦市でその近くに下宿しているので、千葉の中心部まで行かないとジムもありません。行くだけで電車で数時間、交通費もかかってしまうので、なかなか難しい環境なんです。
――そうなんですね。こういう状況でまだいろいろと難しいところはあると思いますが、入部を考えているであろう新入生に向けて、最後に一言いただけますか?
滝:パワーリフティング部には毎年必ず数人が入部しているのですが、これまでもほとんどの人が大学に入ってからこの競技をはじめて、全国大会で入賞してきたりしています。自分も高校までは野球をやっていて、大学に入って初めて、パワーリフティングという競技を知りました。これからはじめても結果が出やすいスポーツですし、トレーニングを続ければケガもしにくくなったり、健康にも良かったりすると思います。明確に数字で結果が出るので、それが伸びていくのは楽しいですし、仲間と一緒にやればどんどん伸びていくスポーツと思うので、興味がある方はぜひ入部してもらえると嬉しいです。
取材・文/木村雄大