「反り腰」改善・予防のエクササイズ
前回は‟猫背”に対する改善策について紹介しました。今回はもう一つの不良姿勢の代表例である‟反り腰”の改善法にアプローチしてみたいと思います。
■姿勢チェック
まず、壁に背中をつけて立ってみましょう。そして、腰と壁の間に手を指し入れてみます。その際、すっぽりと入ってしまうのはNG(写真1)。
個々人のお尻の高さによっても異なると思いますが、むしろ窮屈に感じたり、入っていかないほうがOKです。
ちなみに女性の場合はとくに、ウエストのくびれと正しい姿勢をより意識してでしょうか、すっぽりと入っていくほうが正しいと思い込みがちですが、これは腹圧が緩んでしまっている不良姿勢の典型と言えるでしょう。
反り腰の人は骨盤底筋の筋力が低下し、正常に働いていない可能性も高いので要注意です。
正しい姿勢(写真2)と比べてみてください。
この時点で、改善を試みるのであれば、みぞおちの周辺から背中方向に優しく圧を加えてグーっと押しこんでみるのも一つの手と言えます。
その際の注意ですが、みぞおちには剣状突起という骨があるので骨折させないよう、押し込む際には広く手のひらで優しく押してください。
私は、おへその少し上あたりを「みぞおちホック」(写真3)と呼んでいますが、反り腰の人の場合、このホックが緩んでしまっているのです。
ホックは緩んだままにせず、しっかりと締めておかなければなりません。もちろん、歩くときもしかり。ここをしっかり意識することで、歩き方も必然的に洗練されてくるはずです。
■反り腰改善エクササイズ
反り腰で歩く人の特徴は、ももの前側(大腿四頭筋)に常にスイッチが入っている状態であることはすでに述べた通りです。とくに女性の場合は、その代償動作として、内またにすることによって、なんとかバランスを保って普通に立ててしまっていると考えられます。さらに、歩くときももも前ばかり使ってしまうのですから、その緊張はますます高くなるばかりです。
そこで、その改善のためにはまず、もも前の緊張を緩めて上げることがポイントとなります。写真4のようなストレッチでしっかりほぐしていきましょう。
なお、実施の際には、足首を同側の坐骨の方向に引き上げていくこと。ややもすると、外方向に引っ張りがちで、膝関節が捻れることになってしまいます。その負担により関節を痛めてしまうことになるので注意が必要です。
一方、反り腰ウォークの人は、お尻やももの後ろ側の筋肉が使われていない分、ふくらはぎが必要以上に緊張(短縮)しています。そこで、小さなブロックなどを利用して、母指球から小指球までしっかりその上に乗せて、写真5のようにアキレス腱からふくらはぎをストレッチしていきます。
さらに、写真5の体勢から右足を写真6~7のように徐々に前に移動させていくことによって強度を高めていきます。その際、もうこれ以上伸びないというところまでいくと、骨盤を後傾させることによって、強度を逃がすために代償動作が表われてくる人がいます。その代償動作に変換されていかないように注意しながら、まずは無理をしない範囲で取り組んでみましょう。
山本康子(やまもと・やすこ)
鍼灸師、あん摩マッサージ指圧師、コンディショニングセラピスト。施術キャリアは30年。日本代表チームのトレーナーとしてトップアスリートのボディコンディショニングを手掛けてきた。その間、約6年に渡り外国人トレーナーと共にヨーロッパなど各地を転戦した経験によって、日本にはないスピリットを強く感じ、施術テクニックはもちろんのこと、人として現在もなお進化すべく努力を続けている。2004年に、アー・ドライ治療院、2013年に筋膜リリース専門のスカンディックケアを開業。施術者の育成と労働環境整備にも力を注ぐ。
Scandic care (スカンディックケア)
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取材/光成耕司