サプリメント実践的活用のスペシャリストである桑原弘樹さんが、サプリや栄養や肉体に関する疑問を解決する連載。第61回は、よく耳にする「内臓脂肪」の解説と減らす方法について。
■皮下脂肪よりは落としやすい
内臓脂肪とは、お腹まわりにつく脂肪のことです。
皮下脂肪は皮膚と筋肉の間に溜まっていく脂肪ですが、ある一定量を超えていくと今度はお腹まわりについていきます。内臓とは言っても全身の内臓ではなく、お腹まわりの内臓です。ここにはとくに脂肪が溜まりやすいので、肥満やメタボの際のチェック項目にもなっていきます。
皮下脂肪の場合は腕や胸にはさほど溜まらず、お尻や太腿に溜まっていくため洋ナシ型と言われたりもします。一方、内臓脂肪はまさにお腹まわりなのでリンゴ型と呼ばれ、とくに男性は内臓脂肪がつきやすいので注意が必要です。
一般的には皮下脂肪からついていくので、今度は使われる場合も内臓脂肪から使われていきます。決して甘く見てはいけませんが、内臓脂肪は比較的落としやすい脂肪という特徴もあります。
脂肪は脂を多く摂ることでつくのは間違いありませんが、カロリー過多が最大の原因です。脂肪をつけないためには、摂取カロリーと消費カロリーのバランスを調整していくことが必要です。
摂取カロリーに関してはトータルのカロリーも重要ではありますが、使う場面でのカロリーは脂肪にはなりませんから、逆に使わない場面でのカロリーを減らすことです。
具体的には、就寝前に摂るカロリーは抑えるようにしていきます。晩ご飯に関しては脂質もですが糖質も抑えるようにして、なるべく空腹に近い状態で就寝できるようにするといいでしょう。筋肉の分解が心配な人は、就寝前にプロテインではなくグルタミンなどのアミノ酸を飲むことをおすすめします。
トレーニングに関しては、有酸素運動が効果的です。この場合はしっかりと走るのではなく、早歩きくらいのスピードのほうが脂肪は燃えやすくなります。年齢によって目標とする心拍数はまちまちになりますが、ざっと時速5.5~6.5㎞になります。
有酸素運動の手前で筋トレをしておくとアドレナリンが出て脂肪の分解がスムーズに進みますので、さらに効果的です。
最終的に内臓脂肪にも収まりきらなくなった場合は、お腹まわり以外の臓器や筋肉など、さまざまな箇所に脂肪は入っていきます。これを異所性脂肪と言い、もっとも好ましくない状態でもあります。
桑原弘樹(くわばら・ひろき)
1961年4月6日生まれ。1984年立教大学を卒業後、江崎グリコ株式会社に入社。開発、経営企画などを経て、サプリメント事業を立ち上げ、16年以上にわたってスポーツサプリメントの企画・開発に携わる。現在は桑原塾を主宰。NESTA JAPAN(全米エクササイズ&スポーツトレーナー協会 日本支部)のPDA(プログラム開発担当)。また、国内外で活躍する数多くのトップアスリートに対して、サプリメント活用を取り入れた独自のコンディショニング指導を行ない、Tarzan(マガジンハウス)など各種スポーツ誌の企画監修や執筆、幅広いテーマでの講演会など多方面で活躍中。著書に「サプリメントまるわかり大事典」(ベースボールマガジン社)、「私は15キロ痩せるのも太るのも簡単だ!クワバラ式体重管理メソッド」(講談社)、「サプリメント健康バイブル」(学研)などがある。プロフィール写真のタンクトップにある300/365の文字は、年間365日あるうち300回のワークアウトを推奨した活動の総称となっている。300日ではなく300回であることがポイントで、1日2回のワークアウトでも可。決して低くはないハードルだが、あえて高めの目標設定をすることで肉体の進化が約束されると桑原塾は考え、実践している。