サプリメント実践的活用のスペシャリストである桑原弘樹さんが、サプリや栄養や肉体に関する疑問を解決する連載。第81回は、夕食のみの糖質制限は効果があるのか?という疑問について。
■糖質を少し減らすことからスタートしてもいい
これは意外にも期待できると思います。
糖質制限が人気の理由のひとつは、脂質を制限する場合と比べてダイエット効果が早く出るという点にあります。また脂質はおいしさでもあるので、糖質制限は脂質制限に比べて我慢しているという感覚が弱い点にもあります。お米は食べないけれど、お肉などのオカズは食べられるという感覚です。そして三度の食事で言えば、圧倒的に夕食での摂取量が多いため、単純にカロリーを抑える効果も高くなります。
糖質制限自体の是非はともかく、完全な糖質制限、いわゆる断糖という状態はさまざまな弊害もあるので、慎重にまた計画的に行なう必要があります。
日常生活の中で、糖質制限の効果やメリットを安全かつ容易に手にする方法のひとつとして、夕食の糖質制限が挙げられます。完全にカットとまではいかなくても、ごはん(カーボ)の量を半分にするとか、習慣になっている食後のデザート系を止めるとか、少し減らす努力からスタートでもいいでしょう。
次のステップでは、お昼まではしっかりと糖質を摂取して、午後からは制限するという少し長めの糖質制限になります。年中糖質を摂ることで血糖値が高い状態に慣れてしまうと、通常の血糖値では我慢できなくなります。逆に若干の低血糖になじむために、その後の消費カロリーが低い状態となる夕食からの糖質制限は食欲をコントロールする上でも効果的です。
もちろん、ウエイトトレーニングや有酸素運動といった運動の要素を取り入れて、脂肪の燃焼をしっかりと行なうことをセットでできればさらに効果が上がっていきます。
糖質を制限する中で気をつけるべきことのひとつは、筋肉の分解です。夕食での糖質制限をする時には、就寝前にグルタミンなどのアミノ酸を摂取するといいでしょう。
桑原弘樹(くわばら・ひろき)
1961年4月6日生まれ。1984年立教大学を卒業後、江崎グリコ株式会社に入社。開発、経営企画などを経て、サプリメント事業を立ち上げ、16年以上にわたってスポーツサプリメントの企画・開発に携わる。現在は桑原塾を主宰。NESTA JAPAN(全米エクササイズ&スポーツトレーナー協会 日本支部)のPDA(プログラム開発担当)。また、国内外で活躍する数多くのトップアスリートに対して、サプリメント活用を取り入れた独自のコンディショニング指導を行ない、Tarzan(マガジンハウス)など各種スポーツ誌の企画監修や執筆、幅広いテーマでの講演会など多方面で活躍中。著書に「サプリメントまるわかり大事典」(ベースボールマガジン社)、「私は15キロ痩せるのも太るのも簡単だ!クワバラ式体重管理メソッド」(講談社)、「サプリメント健康バイブル」(学研)などがある。プロフィール写真のタンクトップにある300/365の文字は、年間365日あるうち300回のワークアウトを推奨した活動の総称となっている。300日ではなく300回であることがポイントで、1日2回のワークアウトでも可。決して低くはないハードルだが、あえて高めの目標設定をすることで肉体の進化が約束されると桑原塾は考え、実践している。