サプリメント実践的活用のスペシャリストである桑原弘樹さんが、サプリや栄養や肉体に関する疑問を解決する連載。第155回は、日本人にとってなくてはならない調味料の味噌について。
■栄養価に優れた大豆に発酵の力をプラス
味噌は大豆を主原料として、そこに塩と麹を使って発酵させるという、日本の伝統的な発酵食品です。発酵とは微生物の力によって有機物が分解され、新たにより有益な物質をつくり出すことですので、味噌についてももともと栄養価に優れた大豆を原料としていますが、そこに発酵の力が加わることでさらに各種アミノ酸やビタミンという栄養素がつくり出されています。今のような飽食の時代が来る前においては、とくに重要な栄養源となっていたのではないでしょうか。
余談ですが、発酵と腐敗は紙一重のところがあって、腸内なども多くの細菌がいますから、善玉菌が多い腸内は発酵器官となりますが、悪玉菌が勢力を維持している場合には腐敗器官へと変貌してしまいます。味噌は、明らかに有益な成分をつくり出す発酵によってつくり出された食品と言えます。
白味噌と赤味噌の大きな違いは色ですが、それは主原料である大豆の扱い方によって分かれていて、白味噌の場合は大豆を煮て作り、赤味噌は大豆を蒸して作ります。赤味噌の色はメイラード反応と言って、アミノ酸と糖が加熱される際に起こる現象で、たとえばキャラメルの茶色などもメイラード反応のひとつです。白味噌は大豆を茹でて煮るので、成分が流出してメイラード反応が起こりにくくなるため色が茶色にならないのです。
味的にも赤味噌は濃厚で塩分も豊富ですが、白味噌は甘みが特徴であっさり系であり塩分も赤味噌に比べると少なめです。味噌は地域によって赤か白かに分かれているというのも、伝統的な食品である証かもしれません。塩分の摂り過ぎには少し注意が必要となりますが、各種栄養素が豊富な、最も身近な発酵食品であって、日本の食文化を支えてきていると言っても過言ではないでしょう。そういえば、よく調味料を表わす「さしすせそ」の「そ」は味噌でしたね。
桑原弘樹(くわばら・ひろき)
1961年4月6日生まれ。1984年立教大学を卒業後、江崎グリコ株式会社に入社。開発、経営企画などを経て、サプリメント事業を立ち上げ、16年以上にわたってスポーツサプリメントの企画・開発に携わる。現在は桑原塾を主宰。NESTA JAPAN(全米エクササイズ&スポーツトレーナー協会 日本支部)のPDA(プログラム開発担当)。また、国内外で活躍する数多くのトップアスリートに対して、サプリメント活用を取り入れた独自のコンディショニング指導を行ない、Tarzan(マガジンハウス)など各種スポーツ誌の企画監修や執筆、幅広いテーマでの講演会など多方面で活躍中。著書に「サプリメントまるわかり大事典」(ベースボールマガジン社)、「私は15キロ痩せるのも太るのも簡単だ!クワバラ式体重管理メソッド」(講談社)、「サプリメント健康バイブル」(学研)などがある。プロフィール写真のタンクトップにある300/365の文字は、年間365日あるうち300回のワークアウトを推奨した活動の総称となっている。300日ではなく300回であることがポイントで、1日2回のワークアウトでも可。決して低くはないハードルだが、あえて高めの目標設定をすることで肉体の進化が約束されると桑原塾は考え、実践している。