サプリメント実践的活用のスペシャリストである桑原弘樹さんが、サプリや栄養や肉体に関する疑問を解決する連載。第174回は、目にいいと言われる食材について。
■目の機能を維持・向上させてくれる天然色素「ルテイン」
視力アップというより、眼精疲労に効果があるので有名なのはアントシアニンです。
網膜に集まった情報が視神経を通じて脳に伝わって脳内のスクリーンに映し出されるわけですが、その伝達の役割を担っているのがロドプシンという物質です。このロドプシンは使われてはふたたび合成されるという流れを繰り返していますが、再合成が追いつかなくなることで眼精疲労へとつながっていきます。視力の低下の原因がこのロドプシンが減ることによる眼精疲労の場合には、ポリフェノールの一種であるアントシアニンの抗酸化作用が効果を発揮します。
アントシアニンはブルーベリーがよく知られていますが、アロニアというバラ科の果物はブルーベリーの2倍ものアントシアニンが含まれています。他にもクランベリー、ブラックベリー、アサイ、カシス、ブドウ、ナスなどもアントシアニンが豊富です。
そしてもうひとつ注目したいのはルテインです。
ルテインはカロテノイドと呼ばれる天然色素で、アントシアニン同様に強い抗酸化作用があります。ルテインが抗酸化作用を発揮するのは黄斑と呼ばれる網膜の中心部になります。網膜はカメラにたとえるとフィルムのような場所になり、ここがブルーライトや紫外線などによって劣化することで目の機能が落ちていきます。とくに加齢性黄斑変性は加齢による黄斑の劣化で、ルテインの抗酸化作用によって目の機能を維持・向上させてくれます。ほうれん草や小松菜といった緑黄色野菜に含まれますが、プルーン、アボカドなどにも含まれています。ちなみに、圧倒的にルテインが多く含まれる野菜は、青汁の原料としても知られているケールです。
アスタキサンチンやルテインはサプリメントとして売られているケースも多く、機能性表示食品として売られているものもありますので、裏づけ的にもしっかりとしていると言えます。また、眼科でも売られていたりもしますから、眼精疲労軽減からの視力向上には役立ちそうです。
桑原弘樹(くわばら・ひろき)
1961年4月6日生まれ。1984年立教大学を卒業後、江崎グリコ株式会社に入社。開発、経営企画などを経て、サプリメント事業を立ち上げ、16年以上にわたってスポーツサプリメントの企画・開発に携わる。現在は桑原塾を主宰。NESTA JAPAN(全米エクササイズ&スポーツトレーナー協会 日本支部)のPDA(プログラム開発担当)。また、国内外で活躍する数多くのトップアスリートに対して、サプリメント活用を取り入れた独自のコンディショニング指導を行ない、Tarzan(マガジンハウス)など各種スポーツ誌の企画監修や執筆、幅広いテーマでの講演会など多方面で活躍中。著書に「サプリメントまるわかり大事典」(ベースボールマガジン社)、「私は15キロ痩せるのも太るのも簡単だ!クワバラ式体重管理メソッド」(講談社)、「サプリメント健康バイブル」(学研)などがある。プロフィール写真のタンクトップにある300/365の文字は、年間365日あるうち300回のワークアウトを推奨した活動の総称となっている。300日ではなく300回であることがポイントで、1日2回のワークアウトでも可。決して低くはないハードルだが、あえて高めの目標設定をすることで肉体の進化が約束されると桑原塾は考え、実践している。