サプリメント実践的活用のスペシャリストである桑原弘樹さんが、サプリや栄養や肉体に関する疑問を解決する連載。第176回は、新しいタイプのクレアチンとして話題を呼んでいるクレアルカリンについて。
■酸に強いクレアチンに変えたのがクレアルカリン
クレアチンの効果としては、クレアチン・モノハイドレートもクレアルカリンも同じという理解でいいと思います。どちらも筋肉に取り込まれて、リン酸と結びついた状態でクレアチンリン酸となり、それがATP(アデノシン三リン酸)が分解されてできたADP(アデノシン二リン酸)に反応し、素早くATPを再合成してくれるという役割をします。クレアチンが酸に弱いという点をカバーすべく、pH緩衝剤を使って酸に強いクレアチンに変えたのがクレアルカリンなので、おおもとはクレアチン・モノハイドレートと同じだということになります。
どちらがいいのかという点については、なかなかジャッジが難しいところです。クレアチンが酸に弱いとは言っても、長い時間浸けておくようなことがなければほとんど影響しないとも言われ、実際に胃を通過する程度の時間では問題もなく、だからこそほとんどの論文での報告はクレアチン・モノハイドレートで行なわれているものです。また、クレアチン・モノハイドレートもクレアルカリンもある一定時間胃酸の状態にある場合は、ほぼ同じpHになってしまうという報告もあります(ただし、クレアチン・モノハイドレートの企業の報告)。
ただ一方で、クレアルカリンは非常に効果を体感するという声も聞きます。クレアチンにはある一定の効果があることは間違いありません。これは数多くの信憑性の高い論文で証明されています。しかしクレアチン・モノハイドレートの登場以降、その差別化という点においてはなかなか画期的な商品はできていませんでした。
他にもクレアチンHCLなどもありますが、国産メーカーとして日本で製造販売が可能なのは、今のところモノハイドレートとアルカリンになります。個人的には価格面も含めてモノハイドレートでいいと思っていますが、効果があまり実感できないという人は一度アルカリンを試してみてもいいかもしれません。
桑原弘樹(くわばら・ひろき)
1961年4月6日生まれ。1984年立教大学を卒業後、江崎グリコ株式会社に入社。開発、経営企画などを経て、サプリメント事業を立ち上げ、16年以上にわたってスポーツサプリメントの企画・開発に携わる。現在は桑原塾を主宰。NESTA JAPAN(全米エクササイズ&スポーツトレーナー協会 日本支部)のPDA(プログラム開発担当)。また、国内外で活躍する数多くのトップアスリートに対して、サプリメント活用を取り入れた独自のコンディショニング指導を行ない、Tarzan(マガジンハウス)など各種スポーツ誌の企画監修や執筆、幅広いテーマでの講演会など多方面で活躍中。著書に「サプリメントまるわかり大事典」(ベースボールマガジン社)、「私は15キロ痩せるのも太るのも簡単だ!クワバラ式体重管理メソッド」(講談社)、「サプリメント健康バイブル」(学研)などがある。プロフィール写真のタンクトップにある300/365の文字は、年間365日あるうち300回のワークアウトを推奨した活動の総称となっている。300日ではなく300回であることがポイントで、1日2回のワークアウトでも可。決して低くはないハードルだが、あえて高めの目標設定をすることで肉体の進化が約束されると桑原塾は考え、実践している。