人生100年時代を健康に過ごすために。「エキセントリック体操」とは?




健康寿命が延び、人生100年時代と呼ばれるようになってきました。今回は、短時間・低負荷で筋力をアップできる、主に高齢者向け運動メソッドの書籍が刊行されたのでご紹介します。

『ゆ~っくり座って健康に!60歳からはじめるエキセントリック体操』(株式会社東洋館出版社)は、慶應義塾大学・体育研究所専任講師の稲見崇孝氏、工学院大学・教育推進機構保健体育科准教授の桂良寛氏が著者を務める書籍。なお監修は、オーストラリア エディスコーワン大学教授・野坂和則氏が行なっています。

「エキセントリック」とは、運動スポーツ科学において「収縮している筋肉が伸ばされる筋活動」を示しており、重いダンベルをゆっくりと下げる、階段をゆっくり下りるなどの運動が例として挙げられます。

エキセントリック運動(例:階段を下りる)は、短縮性筋活動が主になるコンセントリック運動(例:階段を上がる)に比べて代謝的な負担が少なく、楽なことが特徴。これには、エキセントリック運動に使っている筋肉に酸素の必要性が低いこと、出力できる筋力がコンセントリック運動に比べて大きいことなどが理由とされています。

例えば、15㎏のダンベルをゆっくり下ろすことができれば、10㎏のダンベルを持ち上げることも可能と言った具合です。

エキセントリック運動の効果として挙げられるのは大きく3つ。1つは体力に関する効果です。継続的に行なっていくことで「筋力」「筋持久力」「パワー」「歩行能力」「バランス能力」が向上します。2つ目は健康に関する効果で、インスリンの感受性がよくなり、血液中の中性脂肪や総コレステロール値も下がっていきます。最後に脳に関する効果として、運動により脳が刺激され、認知機能が高まり様々な疾患の予防を行なうことができます。

エキセントリック体操のやり方としては、ストレッチとは逆で「力の入った筋肉を伸ばして」いき、脚、腕、体幹の筋肉を刺激していきます。どの運動でもゆっくり行なうことがポイントです。

本書では利用者の体力レベルに合わせて実践できるよう、主として負荷を基準に初級、中級、上級、応用編に章を分化。とくに初級編では運動を4種類のみ紹介しており、気が付いたときにいつどこでも実施できる内容を厳選しています。そのため「初級編から入って、慣れてきたら章を進める」というように無理のない進行で運動を進めることができます。なお、誌面のQRコードから動画を視聴することも可能です。

ひとりで実施でき、毎日行なってよい体操メニューが多数掲載されている本書。生活に取り入れることで、未来の健康への投資になり得るかもしれません。

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