佐久間編集長のパーソナルトレーナー百人斬られ(仮)Vol.7 井上浩(ゴールドジム大阪梅田)後編




VITUP!編集長・佐久間が全国のパーソナルトレーナーさんを巡っていく「パーソナルトレーナー百人斬られ(仮)」。ゴールドジム大阪梅田店でアドバンストレーナーを務める井上浩さんの後編はIH式トレーニングの実践編です。ハンパないトレーニングの模様をお届します!

スポーツ選手、パワーリフター、ボディビルダー……やっていることが違えば、それぞれトレーニングの目的も違います。だとしたら、同じマニュアルでトレーニングをするというのはおかしな話です。自分の目的にもっと有益になるように志向していくと、既存のトレーニングから外れていかざるを得なくなります。そうして誕生したのが、筋肥大を一番の目的とした、井上浩さんのIH式トレーニング。今回は背中をメインに、IH式トレーニングを教えてもらいました。

 

「なぜ筋肉が発達しようとするのか? それは現在の筋出力では扱いきれない重いものと対峙したとき、脳はこのままではやばいから進化しなければと判断するわけです。正しいフォームをトレースできるということは、その重量を扱う筋力は備わっているということなので、脳が“伸びる必要はない”と判断します。筋肉の発達は脳との対話なので、“これは動かせない”あるいは“上げきれない”と脳に感じさせることが大事なんです」(井上さん)

 

この考えに基づき、自分の力では扱いきれないくらいの重量と対峙するのがIH式トレーニングです。背中のトレーニングとしてお馴染みのトラットプルダウンを行ないますが、かなりの高重量を扱います。

 

「背中は体の部位の中でも大きな筋肉なので、それを発達させようと思ったら、相当重いものを扱わないといけない。素手で握っていられる範疇では大したトレーニングになっていないので、パワーグリップは必須アイテムになります」(井上さん)

 

扱う重量は3種類。1セット目は190㎏、130㎏、50㎏です。両手で引ける(サポート付き)ギリギリの重量(190㎏)を引いたところで、まずは右手を離して左手一本で戻されないように耐えます。

これを6レップやるのですが、そもそも両手(+補助で)やっと引ける重量なので、片手で耐えるのは不可能です。体勢はどうなってもいいので、とにかく全力で耐えるようにします。

 

同じ重量、同じ回数で、今度は両手で引いた後、右手一本で耐えるようにします。

声にならない声をあげながら必死に持ちこたえようとしますが、重さに腕が持っていかれてしまいます。

 

今度は重量を130㎏に落として両手で6回引きます。最初より軽くなって両手で引くとはいえ、すでにダメージがあるのでかなりきついです。

最後は重量を50㎏まで落としてきれいなフォームで9回行ないます。

最大負荷で左手×6回、右手×6回、負荷を落として両手×6回、さらに負荷を落として良いフォームで9回。これで1セットとなります。

 

2セット目は全体の負荷をもう少し下げて、最大を130㎏でスタート。最初と比べてればだいぶ軽いのですが、パワーメーターのゲージがすでに減っているため、2レップ目、3レップ目になると、簡単に腕を持っていかれてしまい、まったく耐えることができません。「力を出し切るというのはこういうことです」と井上さん。

「僕が考えるトレーニングの目安は、その人の持つ最大筋力の領域が、使えなくなってしまうこと。それがオールアウトの目安だと思います。重量を軽くすれば延々とセットができると思いますが、求めるのは最大筋力の領域をより上げることになりますから、出し切れたらそれでOKです」(井上さん)

 

本来は4セットやるそうですが、取材時間の関係と、もっと言うなら筋力的な限界により今回は2セット。全力を出し切ったので、翌日から1週間筋肉痛がおさまらない状態でした。

 

背中はいっぱいいっぱいでしたが、せっかくなので肩のトレーニングもお願いしました。マシンを使ったサイドレイズです。こちらもIH式トレーニングです。扱う重量は同じく3種類。最初はお尻を浮かせても良いので全身を使って170㎏を片手で6回、続いて110㎏まで落として同じく片手で6回、最後はさらに軽く50㎏にして、頭の横くらいまで上げるようにして18回。これで1セットとして、左右行ないます。

2セット目は130㎏、90㎏、50㎏まで重量を落として同じことを行ないます。とにかく全力を出し切るので、心拍もかなり上がります。インターバルに関しては呼吸が安定するまでとって良いとのこと。「1分経ったらいかないといけないのはボクサーだけですから、2セット目に最高のパフォーマンスを出せるように呼吸が落ち着くまで休んでいいです」(井上さん)

 

こちらも本来は4セット行ないますが、限界に達したため2セットで終了。目から火が出るくらい力を使い、普通では経験できないきつさのトレーニングでしたが、効果を確実に実感できて、やり終えた後の充実感は最高でした。井上さんが的確にサポートしてくれるので、自分の限界まで追い込むことができたと思います。

 

すごいと評判のIH式トレーニングは、本当にハンパなかったです。というわけで、今回はここまで。井上さん、ありがとうございました。

 

【トレーナーPROFILE】
井上浩(いのうえ・ひろし)
1962年11月13日生まれ。18歳からトレーニングを始め、ボディビルで数々の実績を残す。自身のトレーニングに対する考察をもとにした、IH式トレーニングを指導しており、ボディメイクやデザイン以外にも、スポーツの競技力向上の為の指導も行なっている。
主な戦績は以下の通り。
2000年ミスターアジア3位/2001年ワールドゲームズヘビー級6位/2002年ジャパンオープン優勝/2002年釜山アジア大会4位/2007年東アジア選手権2位/11年連続ミスター日本ファイナリスト/17年連続日本クラス別選手権優勝

 

【店舗情報】
ゴールドジム 大阪梅田
〔住所〕大阪府大阪市北区茶屋町15-31 茶屋町クリスタル3・4F
〔料金〕(価格は税込)
■レギュラーメンバー(梅田大阪店のみ)
ミッドナイト(月~土、日以外の祝日 23:00~7:00)6,600円
シェイプエクスプレス(全営業時間 週2回利用〈日~土曜日〉)6,600円
※女性限定
スチューデント(全営業時間利用可能〈高校生は22時まで〉)8,800円
※高校生~25歳までの学生に限る
ホリデイ(土・日・祝日の全営業時間)7,700円
デイタイム(月~土・祝日 7:00~18:00)8,800円
ファミリー1人9,900円
※同居している2親等以内のご家族が対象。
※ご入会時のご家族が全員在籍して頂いていることが条件です。
※全営業時間利用可能
フルタイム(全営業時間)11,000円
ゴールド(全営業時間・レンタル5点セット付〈※1日1回〉)16,500円
■井上さんのパーソナルトレーニング
60分/8,800円(都度払い)
〔営業時間〕
24時間営業
※毎週日曜日20:00〜月曜日7:00の間クローズ
※定期休館日(第3月曜日)当日は23:00オープン
※休館日は第3月曜
※休館日は会員種別により十三店、宝塚兵庫店を無料でご利用いただけます

 

佐久間一彦(さくま・かずひこ)
1975年8月27日、神奈川県出身。学生時代はレスリング選手として活躍し、高校日本代表選出、全日本大学選手権準優勝などの実績を残す。青山学院大学卒業後、ベースボール・マガジン社に入社。2007年~2010年まで「週刊プロレス」の編集長を務める。2010年にライトハウスに入社。スポーツジャーナリストとして数多くのプロスポーツ選手、オリンピアン、パラリンピアンの取材を手がける。