佐久間編集長のパーソナルトレーナー百人斬られ(仮)Vol.8 安沢明也 後編




VITUP!編集長・佐久間が全国のパーソナルトレーナーさんを巡っていく「パーソナルトレーナー百人斬られ(仮)」。安沢明也トレーナーの後編はトレーニング編です。普段は女性専門パーソナルですが、今回は佐久間が元「週刊プロレス」編集長ということもあり、プロレス式のトレーニングを交えて指導してくれました。

「僕のパーソナルはマインドを変えていくことを大事にしているので、最初はとにかく喋ります。コーチングが50分でトレーニングは10分だけみたいなこともよくあります」

 

まずはカウンセリングで、お客様がどんな悩みを抱えていて、どんな目標を持っているのかを徹底的に話すという安沢さん。さらには体の状態を入念にチェックするため、初回は実際にトレーニングをすることはほとんどないと言います。とはいえ今回は取材なので、カウンセリングは割愛してもらい(やる気はバリバリあるので)、状態のチェックからお願いしました。

片足立ちでのバランスや骨盤の傾き、前屈しての柔軟性、壁に背中をつけて立って腰の反り具合、そしてあぐらをかいて体がどこまでひねれるかなど、いろいろと私の体の状態をチェックしていきます。左右の筋力差や歪み、あるいはどのくらいのトレーニングができる状態なのかといったことを診断します。

続いては腹筋、背筋の筋力をチェック。

写真のように額の位置で手を合わせてうつぶせになり、そこから腕立て伏せの要領で体を起こします。

これができたら続いては難易度アップ。手足を大の字に開いて上体を浮かせます。私の場合、アウターマッスルの筋力に関しては問題ないとのこと。

今度は太もも裏と太もも前の柔軟性をチェック。自分では太もも前のほうが柔らかい印象を持っていましたが、むしろ逆で太もも前はもう少し柔軟性があったほうが良いと言います。たしかに写真を見ると、かかとがお尻につかないくらいなので、柔軟性が落ちているのがわかります。そこで安沢さんのサポートを受けてストレッチすると……。

もはやプロレス技! だいぶストレッチされていますが、完全にギブアップです。

 

本来はもっとたくさんのチェックをしますが、今回は取材で時間に限りがあるため、トレーニングに入っていきます。通常のパーソナルではやらないプロレス式の腹筋に挑戦します。

パートナーの腰に足を組んで宙に浮いた状態で腹筋運動を行ないます。見ての通り、めちゃくちゃきついので、10回やるだけで腹筋のダメージは大きいです。このトレーニングは腹筋をやる側だけでなく、それを支えるパートナーも足腰、体幹の強さが必要です。鍛えていない時間でも鍛えられているのが、プロレス式トレーニングの特徴と言えるかもしれません。繰り返しますが、これは通常のメニューではなく、私への特別バージョンとして入れてもらったものです。ニーズに応じてトレーニングできるところも、パーソナルトレーニングの魅力です。

 

アウターマッスルの腹筋を鍛えた後は、インナーマッスルの腹筋です。私の普段の腹筋トレーニングは、ローラー、クランチ、レッグレイズといったところで、すべてアウターマッスルです。「インナーマッスルを鍛える」といってもわからないので、安沢さんが見本を見せてくれます。

仰向けに寝て腰が反りすぎず、背中が丸まりすぎない姿勢になり、息を吸ってからお腹を凹ませながら息をはき、腹横筋に力を入れます。実際に触らせてもらうと力が入って腹横筋が硬くなっているのがわかります。

さっそく挑戦。呼吸をしながら腹横筋に力を入れようとするのですが、うまく力をコントロールすることができません。

骨盤を後傾させる動きができていないため、誘導してもらいながら骨盤を後傾させる動きを体に覚え込ませます。この感覚を持ったまま、再度、腹横筋に効かせる腹筋にチャレンジ。

腹横筋にしっかり力を入れながら腹筋。何も意識せずにやっているときとはまったく違うきつさがあります。プロレス式腹筋が派手にきつかったのに対して、インナーマッスルを意識した腹筋は地味にきつい。しかし、これなら家で一人でもできるので、誰にでも有効です。

 

次のトレーニングに入るにあたってストレッチを行ないます。コブラツイストからのサーフボードストレッチ……ってプロレス技! ではなく、体側や胸郭を伸ばしていきます。

しっかり伸ばしてもらったので固まっている部分がスッキリ。あぐら姿勢から体をひねる動作では、最初にチェックで行なったときよりも、だいぶひねれるようになっていました。

こうして動ける体にしたうえで、トレーニングに入るのが理想の形。最後はプロレス式のロープ(タオル)引きです。

腕だけで引くのではなく、しっかり背中で引くようにします。下半身も安定させることが大事。レスリング部時代を思い出します。

 

今回のトレーニングはここまで。個人的には元プロレスラーの安沢さんとプロレス式トレーニングをできたのは、なんとも言えない嬉しさがあります。しかし、それ以上に印象的だったのはインナーマッスルを鍛える腹筋です。これまで腹横筋はまったく意識したことがありませんでした。そこに力を入れるのは難しかったのですが、的確なアドバイスでうまく使えているのがわかったときの驚きは、今までにない経験でした。ムキムキになるよりも引き締まった体を目指す女性には、インナーマッスルのトレーニングは、とくに効果的だろうなと感じました。

 

安沢さん、ありがとうございました!

 

取材協力=MGTOKYO品川

東京都港区高輪3-23-14シャトー高輪202

 

【トレーナーPROFILE】
安沢明也(あんざわ・あきや)
1981年生まれ。高校卒業後、アニマル浜口ジムで鍛えて2002年に新日本プロレスに入門。03年9月にプロレスラーとしてデビュー。05年、IWGPジュニアタッグ王座に挑戦するなど、気迫溢れるファイトで人気を集めたが06年1月に25歳の若さで引退。07年よりパーソナルトレーナーとなり、NSCA-CPTの資格を独学で取得。10年、女性専門パーソナルトレーニングジムの店長兼マネジャーとして勤務。16年より女性専門パーソナルトレーナーとして活動を開始し、18年よりパーソナルトレーナー、セラピスト、整体向けのコンサルティングを行なっている。

 

【店舗情報】
■パーソナルトレーニングHP
■オンライン・パーソナルトレーニングHP
■PTブランディング経営コンサルティングHP

 

佐久間一彦(さくま・かずひこ)
1975年8月27日、神奈川県出身。学生時代はレスリング選手として活躍し、高校日本代表選出、全日本大学選手権準優勝などの実績を残す。青山学院大学卒業後、ベースボール・マガジン社に入社。2007年~2010年まで「週刊プロレス」の編集長を務める。2010年にライトハウスに入社。スポーツジャーナリストとして数多くのプロスポーツ選手、オリンピアン、パラリンピアンの取材を手がける。