以前から希望していた海外のジムでの練習が実現しました。今回はご縁があってハワイの「UNITED MMA」というジムにお世話になりました。
このジムはONE ChampionshipのONE世界女子アトム級王者のアンジェラ・リー選手が所属しているジムです。そもそもUNITED MMAは、アンジェラ選手のお父さんがつくったジムで、弟のクリスチャン・リー選手もONEライト級世界グランプリ・チャンピオン、姉弟4人全員が格闘家という格闘技一家なんです。
アメリカ本土のメガジムはまた違うのかもしれませんが、このジムは4人の姉弟が全員強くて、安定的に全員が強くなる練習をしている印象でした。朝はみんなで2時間半くらい選手練習をして、夜になると選手たちがジムのキッズたちや一般の会員さんの指導をします。こうした指導も強くなるためにやっていることなのかな?と考えたりしました。
練習で印象的だったのは、テクニック練習がすごく長いことです。日によって違うとはいえ、スパーリングは最後のほうに30分くらいやる感じで、練習時間の多くをテクニック練習に費やします。日本のスキル練習というと、一つの技を練習する場合がほとんどですが、ここの練習は違いました。流れで全部をやります。
たとえば、パンチ→テイクダウン→相手がこう逃げてきたらこういう技に入る→また相手が逃げてきたらスタンドに戻って終わり……という感じで、一つのテクニックが試合の場面を想定した一連の流れなので、すごく長いんです。打撃のスキル練習にしても、細かくて長いため、自分には苦手な種類の練習でした。
先生が練習したいテーマや目的を言ったときに、すぐに何が一番重要なのか、ここの部分がフォーカスされているということをパッと理解してやらなければいけません。自分はそういう部分が苦手で、体力的には大丈夫だったのですが、頭を使うのですごく疲れました。テクニックやドリルが長くて覚えられません(笑)。海外だとこういう練習も多いのかなと勉強になりました。
今回は10日ほどの滞在で、実は3日目くらいに高熱を出してしまいました。コロナの検査は何度もしていて陰性だったので、きっとテクニックに頭を使いすぎて知恵熱が出たのだと思います(笑)。そうした中で一日だけ、アンジェラ選手とスパーリングをすることができました。しかも金網の中で練習試合みたいな感じで行ないました。レスリングベースで組み技が強く、日本人にはあまりいないようなタイプの選手ですごく良い練習になりました。
このアンジェラ選手が9月に試合を控えているということで、「練習パートナーとしてまた来てほしい」というリクエストを受けて、もう一度ハワイに行くことになりました。今回は体調を崩してしまったこともあり、今度はもっと万全の状態でガッチリ練習をしてきたいと思います。
最後にご報告です。自分のTwitterを見てご存じの方もいるかもしれませんが、今回ハワイに行くにあたって10年ぶりに水着を買おうと思いました。しかし、こんな体で似合う水着があるわけなく、お店に行ったら場違いすぎて、水着の短パン的なものだけ買って退散しました(涙)。結局、10年前に買った水着で海に行きましたとさ。
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渡辺華奈(わたなべ・かな)
1988年8月21日、東京都出身。7歳から柔道を始め、高校ではインターハイ2位、アジアジュニア優勝などの実績を残し、東海大進学後、1年時に全日本ジュニア優勝を飾る。卒業後、JR東日本へ入社し、オリンピックを目指して競技を続けた。2017年に同社を退社し、格闘家に転身。同年12月3日にデビューを勝利で飾ると29日にはRIZIN初参戦で実力者杉山しずかに勝利。2021年よりアメリカ格闘技団体「ベラトール」に参戦している。所属はFIGHTER’S FLOW