摂食障害を乗り越え日本一へ! 「本気で自分と向き合って、過食衝動に打ち勝ちました」【原島さみら(後編)】




絞る=美徳という考えには、危険が潜んでいる

――摂食障害に悩む選手が多いということですか? 想像がつかないです。

「SSAで優勝した時、過去に摂食障害で悩んでいたことをSNSで公表したら、男女問わずメッセージをたくさんいただきました。その中に、コンテスト選手が4割~5割含まれていて、厳しい現実があることを知りました」

――原島さんの発信がきっかけで、初めて見えたことだったのですね。

「はい。こんなに悩んでいるのに、誰にも言えずに孤独に生きているなんて……。と思いました。中には大会出場後のひどいリバウンドで、生活にも影響が出ているというご相談もありました。SNS投稿の裏で苦しい思いや、葛藤を抱いている方がたくさんいる。その事実に、トレーナーになってから気がつきました」

――選手が摂食障害に陥りやすいのは、なぜなのでしょうか。

「一概には言えませんが、コンテストに向けた体づくりの一環で、極度な絞りからの反動が考えられます。コンテスト後に、適切な食事の摂り方を見失うケースもあるでしょう。また、一度絞った自分を知ってしまうと、体づくりの基準が高くなってしまうのかもしれません」

スリムな体をつくると言っても、無理は禁物だ

――自分を追い込みすぎてしまうと。

「はい。とくに大会に出場されている女性は、自分を追い込みがちです。個人的にはコンテスト審査での評価基準が、『痩せている=美徳』という日本の価値観と通じる部分があると思っていて。それに無理に合わせて、苦しくなってしまうところがあります。実際にクライアント様の中にも、何人かそういった悩みを抱えられている方がいらっしゃいます」

――一度、絞り切った自分を知るわけですからね。

「そうなんです。絞った自分を知っていると、極度のリバウンドをしてしまった時、大会仕様の体とのギャップを感じやすい。身も心も砕け、自信をなくしてしまうんです。何より、誰に相談したら良いか分からないんですよね。それが摂食障害の最中だと、どんどん悪いループにはまっていくことがあります。ちなみに一般の方は、仕事のストレスや家庭環境、対人関係の悩み、自分の体へのコンプレックスなどが引き金になって、摂食障害に陥るケースが多いです」

◆原島さんが行なっている、クライアントへの指導とは?