サプリメント実践的活用のスペシャリストである桑原弘樹さんが、サプリや栄養に関する疑問を解決する連載。今回は、プロテインの仕組みについて。
※本記事は、2020年に公開した記事を再編集して紹介するものとなります。
■運動、栄養、休息があってこそ
プロテインを飲めば筋肉が太くなると思っている人もいるようです。しかし、プロテインはタンパク質の塊のようなもので、「栄養」そのものと言えますから、筋肉を太く大きくするという「機能」については、それ単独ではあまり期待できません。
筋肉を太くするには、速筋への刺激、つまりウエイトトレーニングという前提が必要となります。その上で休息と栄養という要素が加わって、筋肥大にとって有効であるという関係です。
体づくりには運動、栄養、休息は三位一体でどれも必要ですが、筋肥大に関しての前提は運動(筋トレ)ということになります。運動という要素がなくても地上にいる限りは重力という負荷がかかりますから、ある意味、私たちには運動の要素は必ず備わっていると言えますが、筋肉を太くするにはその程度の負荷では不十分と言わざるを得ません。
逆に筋トレをしっかりやっても、栄養と休息という要素がなければその効果はこれまた十分には発揮されないのです。
筋線維が筋トレによって刺激を受けることによって、そこから筋タンパク質の合成が進むようになります。その際に、血中のアミノ酸濃度を高い状態にしておくことが、筋タンパク質の合成を促進させるのに役立つのです。少し乱暴な表現をすれば、筋線維を壊して、その修復に使われるのがプロテインというイメージになります。
筋タンパク質は、合成だけが動くのではなく同時に分解も動いているので、栄養という要素が足りないと分解のほうが優位になってしまい、せっかく筋トレをしても筋肉は十分に発達してくれません。
プロテインが消化されてアミノ酸になると、そこからBCAAというアミノ酸が出てきます。とくにホエイプロテインにはBCAAが豊富に含まれています。そしてBCAAの中のロイシンというアミノ酸は、筋タンパク質を合成に向かわせるシグナルのような役割をするので、少し間接的でありますが、プロテインが筋肉を太くするメカニズムの一部ではあります。
桑原弘樹(くわばら・ひろき)
1961年4月6日生まれ。1984年立教大学を卒業後、江崎グリコ株式会社に入社。開発、経営企画などを経て、サプリメント事業を立ち上げ、16年以上にわたってスポーツサプリメントの企画・開発に携わる。現在は桑原塾を主宰。NESTA JAPAN(全米エクササイズ&スポーツトレーナー協会 日本支部)のPDA(プログラム開発担当)。また、国内外で活躍する数多くのトップアスリートに対して、サプリメント活用を取り入れた独自のコンディショニング指導を行ない、Tarzan(マガジンハウス)など各種スポーツ誌の企画監修や執筆、幅広いテーマでの講演会など多方面で活躍中。著書に「サプリメントまるわかり大事典」(ベースボールマガジン社)、「私は15キロ痩せるのも太るのも簡単だ!クワバラ式体重管理メソッド」(講談社)、「サプリメント健康バイブル」(学研)などがある。プロフィール写真のタンクトップにある300/365の文字は、年間365日あるうち300回のワークアウトを推奨した活動の総称となっている。300日ではなく300回であることがポイントで、1日2回のワークアウトでも可。決して低くはないハードルだが、あえて高めの目標設定をすることで肉体の進化が約束されると桑原塾は考え、実践している。