フィットネスに親しんでいる人や、過去に部活などで運動をしていたことのある人のほとんどが“自分は走れる”と考えているのではないでしょうか? でも、プロのコーチから見ると、多くの市民ランナーは“正しく走れていない”ようです。そこで、市民ランナーからオリンピックを走るアスリートまで、幅広いランナーを指導するプロランニングコーチの金哲彦さんに“正しい走り方”についてレクチャーしてもらいます。
自分なりの目標を設定することが大切
前回は“正しく走る”ためのフォームについて説明しました。ランニングをはじめても、ヒザなどが痛くなって続かないという話はよく聞きますが、第3回で述べた準備をしっかりして、正しいフォームで走ればそう簡単にヒザ関節などを痛めることはないはずです。正しいフォームで走れるようになると、体への負担が少なく、前よりも楽に速く走れるようになるはずです。第1回で述べた「自転車に乗れるようになったような感覚」を味わえる人もいるでしょう。
そうなると、走ることが楽しくなりますし、疲れにくくなるのでランニングを続けやすくなるはずです。体の変化は何回か走っただけでは感じられませんから、継続して習慣にすることが大切です。継続するためには、自分なりの目標を立てるのが効果的です。はじめのうちは「1時間続けて走れるように」とか「10km走れるように」といった目標でもいいですが、ある程度走れるようになってきたら、レースなどのイベントを目標にするのもいいでしょう。
今、ランニング人口は600万~700万人と言われていて、レースだけでなく、“旅ラン”と呼ばれるものなど、数多くのランニングイベントが開催されています。ほぼ毎週末、何らかのイベントがあるような状況ですので、自分に合ったレースやイベントを見つけ、それを目標にするのが効果的です。初心者なら10kmのレースもありますし、10kmを1時間程度で走れるならハーフマラソンでも完走できるでしょう。自分なりの目標を設定すると、ランニングは続けやすくなります。
金哲彦(きん・てつひこ)
プロランニングコーチ、駅伝・マラソン、陸上競技解説者、ランナー。福岡県北九州市門司区出身。早稲田大学教育学部卒業。在学中競走部に属し、中村清監督の下、箱根駅伝で活躍。卒業後はリクルートに入社し、陸上競技部を創設。1987年には別府大分毎日マラソンで3位に入る。1995年より同部監督に就任。同部の消滅後は、陸上のクラブチーム・ニッポンランナーズを創設する。現在は、テレビのマラソン・駅伝中継の解説も務める。最新の著作は『体幹ウォーキング』。
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