年齢に関係なくしっかり運動できます
――およそ90分にわたるシゲトレ。どのようなものかを教えてください。
中村 まず、僕がやりたかったのは、ダンスではないんですね。僕が昔、踊ってた人だっていうことを知ってる人は、トレーニングの写真だけを見ると、ダンス教室だと思われるでしょうけど、コンセプトは誰でもできることを、さぼれないスピードで、ジックリやる。なぜならば、見せるためのものではなくて、自分の体のためにやってることだから、です。「キツいと思ったら、無理して付いてこなくていいですよ」って言いますし。
――トレーニング内容が編みだされたのは、どういう経緯で?
中村 そもそも僕の母からはじまったものなんで、お年寄りでもできるもの。10代から60代までで幅は広いんですけど、若い方に合わせるか、お年寄りに合わせる、「これはできないんだな」とか、「ここはもうちょっと大きく回しても大丈夫かな」とかは、やりながら変えていく感じです。上から順番に下をやっていく、ラジオ体操的なもので。
――頭、首から上半身、下半身という順番ということで?
中村 そうです。首やって肩、腰やってお尻、足。順番にやっていって、たとえば首はそんなに大きく動かせないけど、じゃあ、どうしたら効果的に、無理のない動きができるのかを、自分の体で試しながらやっています。根拠はあるようでないけど、自分の体を使って、納得しているものだから。
――「根拠は自分の体」。いい言葉ですね。
中村 いいねぇ(笑)。
――受講した生徒さんからは、どんな声を聞きますか?
中村 初めて受けた方はまず、股関節が筋肉痛になってます。2回目以降の方から、「もうちょっと上半身をやりたい」という声があれば、応えたり。どういう意味で今、その部分を鍛えているのかは、いちいち説明するようにしていますね。「股関節は大きく動かしたほうがいい」とか。
――なんで、大きく動かしたほうがいいんですか?
中村 子どもたちは、ほっといても走り回るでしょ。つまり、股関節を思いきり大きく使ってるわけですよ。太ももの裏の筋肉も、お尻を蹴飛ばすような勢いで、ハムストリングスを使いながら走ってる。でも、大人になると、全力ダッシュはしなくなる。動かせるものを、動かしてないんですよ。「階段を1段飛ばし、2段飛ばしで上がってますか?」って。してないでしょ。じゃあ、この時間を使って、本来動くところを少し動かしてみましょうか、と。年をとると、「何もないところでつまづいた」とか言いますけど、それは、筋肉を使わなくなって、硬くなって、足も上がってるようで実は上がっていないから。単純にそういうことです。
――教えているうえでのマスト事項はありますか?
中村 あんまり筋力を使わせたくない、というのはありますね。ストレッチがメインで、後半でハードな動きを少しだけ入れる。いろんな関節を動かして、あとは自分の体の重心を考えて、少しフォーカスしてもらう。1日のなかのほんの数十秒を、自分の片足だけで立つということに集中してもいいんじゃないですか、と。少し躍動的なこともやって、ケガをしない。起承転結は考えています。
――最後に、“美しい体”ってどういうものだと思いますか?
中村 いつでも準備ができている体、ですね。たとえば今日、突然電話がかかってきて、1週間後にマラソン大会がありますとなっても、下地ができていれば、対応できる。僕、野球をやってたんですけど、イチロー選手はよく、「いつでも準備ができている」と言うんです。99年に彼は、シアトル・マリナーズの秋季キャンプに行ってるんですけど、そのときに僕、会ってるんですよ。質問したのが、「ユニフォームって何パターン作ったの?」。「8着だ」って言うんです。まだ入団が決まってないのに、キャンプに入るというだけで8着も作ってる。それは、プロですよ。そういうことに、とっても共感する。役者であれば、急きょ代役とかがあるんですけど、そうなったときに自分のところに来てもうろたえず、常に心と体の準備ができている。そういうことかな。
1967年9月1日生まれジャニーズ事務所に所属し、音楽、映画などで活躍した。93年の退所後以降、さらに活動の幅を広げ、舞台にも進出している。公式サイト:「中村繁之オフィシャルウェブサイト」
公式ブログ:「中村繁之公式ブログ」次のシゲトレは11月19日に開催!
日時:11月19日(日)17時15分~(18時45分終了予定)
場所:三軒茶屋スタジオ(Estudio)
住所:世田谷区三軒茶屋1-30-9三軒茶屋ターミナルビルB-1
文/伊藤雅奈子