【鉄人アスリート】サッカー・土屋征夫③~衰えぬサッカーへの意欲~

スポーツ界の鉄人を紹介していくこのコーナー。今回登場するのは、43歳までJリーグでプレーし、現在も地域リーグでプレーを続けるセンターバック・土屋征夫選手。衰え知らずの身体能力、そして燃え続けるモチベーションの秘訣とは?今回は、Jリーグ功労選手も受賞した土屋選手の「引退」に対する気持ちを伺う。
★第2回は→こちら

今は引退を考えることはない
チームに迷惑をかけるその日まで

写真提供:東京23FC

――率直に聞きますが、現在44歳、引退を考えたことはありますか。

土屋:本気で考えたのは、39歳、ヴァンフォーレ甲府にいたときに左膝前十字靭帯損傷のケガをしたときだけですね。半年以上プレーできなかったですし、さすがにもう無理だなって思いました。ただ、周りの仲間、スタッフ、先輩方が「まだやれるだろ」って言ってくれて。みんなの支えがあり、復帰することができました。

――これまでに年齢というのを意識したことは?

土屋:Jリーグに入ったときは、とりあえず30歳までやろうと思っていたんですよ。でも30歳を迎えた時に「全然できるじゃん」と思って。目標にしていた柱谷哲二さんとか、永島昭浩さんが34歳で引退したので、じゃあ今度はそこを目指そうと。ただ34歳になってみると、まだまだやりたいっていう意欲もありました。意識はしたけど、体力的な衰えみたいなのはそのときは感じていませんでした。

――今はもう引退という考えはない?

土屋:もうここまでくるとね、なんかやめるとかやめないとか、よくわかんないですよ(笑)。

――こうなったらダメだろうな、みたいなのは?

土屋:……チームメートに迷惑かけたら、かな。コイツがチームにいると迷惑って仲間に思われたら考えようと。それはプレー面でも、チーム内の存在という意味でも。東京23FCでは人間的にいいやつばかりだから気持ちよくサッカーさせてもらっています。もちろん、この年齢になって若い選手とコミュニケーションを図るというのはなかなか難しいことだとは思うんですけど、みんなの熱意もあるし、そういう環境は自分に合ってると思っているので、今はまだやりたいと思います。

――ただ、実際のところ土屋さんの武器である身体能力は年齢とともに変化はあるんじゃないですか?

土屋:それはもちろん(笑)。スピードは相当落ちていると思うし、ジャンプ力も。まぁしょうがないですよね。でも今からまた体を変えようとは思わないし、どちらかというと、筋肉を維持してケガしないでやることを継続していっていますね。

――そのトレーニングとして、懸垂が好きだという話を聞きました。

土屋:甲府に行ってからやるようになりましたね。最初は1回しかできなかったんですよ(笑)。でも、筋力はもちろん体幹にも効くからと甲府のフィジカルコーチにやってみなと言われて。毎日毎日やってたらできるようになってきて、体幹がグンと締まるような感じがしてきて、これいいねって。逆上がりしたりとかいろんなバリエーションを増やしています。基本は10回を、調子に合わせて何セットかっていう感じですね。

――ヴァンフォーレに行ったときはすでに38歳、そこでも新たに何かを取り入れることができたんですね。

土屋:フィジカルコーチとの出会いもそうですけど、何より、違う環境に行ったのも良かったかもしれないですね。その前に所属していたヴェルディでやめるものだと思っていましたが、またチャレンジするチャンスをもらって。違う場所で、違うスタッフ、違う選手たちと会ったことでいろいろな向上心も持てて。さらに、J1という舞台でしたから。38歳になって、J2からJ1にステップアップするなんて普通じゃありえないじゃないですか(笑)。だからこそ自分をさらに追い込んだりすることもできたし、自分の人生としていい選択だったなと思います。

――ケガや体のケアは年齢とともに変わってきてますか?

土屋:変わりましたね。試合自体は問題なくやれるんですよ。90分間、気持よく動けるんです。でも疲労は全然抜けない。試合後のケアでそれを抜いていかないと、なかなか厳しいんです。僕、練習するのは好きだからもっとやりたいと思っちゃうんですけど、スタッフに考慮してもらって時には練習から抜けたりしています。51歳で現役を続けているカズさん(三浦知良、横浜FC)もそうだと思うんですよね。カズさんもすごく練習するし、一緒にプレーしていたときも、すべてを100%でやる方だったので。今もそれは変わってないんじゃないかな。僕より8個も上ですから、もっと大変だと思うんです。

――食事面はいかがですか?

土屋:ヴィッセル神戸に所属していたときにある栄養士さんに会って、少しずつ変えていきましたね。その方が僕の性格をすごくわかっていてくれて。僕自身がすごく飲み込みやすいように、改善を手伝ってくれたんです。今でもたまに連絡をとるんですけど、その方のお蔭ですね。それまではお菓子とか食べたいだけ食べていましたから。

――具体的な改善方法は?

土屋:最初に言ってくれたのは、「好きなものは食べたいでしょ?」って。だったら試合前の何曜日以降は、ある程度意識して控えましょうとか。最初からすべてを変えるのは難しいから、徐々に徐々に変えていこうと。好きなものを食べる日は食べて、その代りに、例えば試合の3日前からは試合に向けて考えながら食事しようと。最初から「これはダメ」みたいな形で言われなかったから、あぁそうなんだと、少しずつ変えるような感じで。

――そういった具体的な対策もあると思うのですが、改めて、この年齢までプレーできる秘訣は?

土屋:気持ちの部分がとにかく大きいと思うんですよね、サッカーに対する意欲とか意識。とにかく毎日ボールに触りたい、試合がしたいっていうのは今でも相当強いです。それがプレーにつながっているのはあると思うし。あとはやんちゃなイメージがあるかもしれないですけど、意外に真面目なところもあるからですかね(笑)。

★次回は最終回。今後の展望について聞きます。

取材/木村雄大 撮影/須﨑竜太

土屋征夫(つちや・ゆきお)
1974年7月31日、東京都出身。高校卒業後の3年間のブラジル留学を経て、1997年にヴェルディ川崎(現東京ヴェルディ)に入団。1999年にヴィッセル神戸に移籍し6年間プレー。その後、柏レイソル(2005年)、大宮アルディージャ(2006年)、東京ヴェルディ(2007~2012年)、ヴァンフォーレ甲府(2013~2017年、2017年途中から京都サンガF.C.に期限付き移籍)と渡り歩き、2018年から東京23FCに移籍。身長177cm、体重73kg。身体能力を武器に活躍するセンターバック。2018年、Jリーグ功労選手賞を受賞。
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↓第1回教室の模様は下記からご覧いただけます。
https://ameblo.jp/tokyo23footballclub/entry-12397148206.html