編集長は日本記録保持者②【マッチョ編集長のマッチョコラム第15回】




前回から引き続き「アイアンマン」編集長の荒川大介さんのことをお伝えしたい。2011年の試合を最後に仕事とケガの影響で戦線離脱を余儀なくされるも、2014年からは競技に復帰。まずは全国大会への切符を手に入れるために東京都大会から再スタートを切った

「練習は、仕事を終えた夜の11時か12時くらいから始めます。パワーリフティングには、『ピーキング』という調整方法があるんです。まずは軽い重量から練習を始めて、少しずつ重さを積み上げて重量を伸ばしていく練習方法です。5、6週間かけて取り組むのですが、この間、スクワット、ベンチプレス、デッドリフト以外の補助種目の練習量は少し減らします。すると、補助種目の使用重量は落ちますが、スクワット、ベンチ、デッドの使用重量は上がっていきます。ピーキングを始めた当初は『こんな重量、絶対に上げられない』と思うのですが、不思議と上げられるようになるんです」

深夜に練習するとなると、当然のことながら、睡眠時間が削られることになる。

「この時期は睡眠のことは一切無視です。考えても、仕方がないですから。試合前はトレーニングを優先して、仕事以外のことはなるべく考えないようにしています。やっぱり、疲れはしますから。ただ、ピーキングは『疲れないように練習する』ことが重要なので、練習量自体は減らすので、その時期は少し楽ですね」

2017年7月16日に開催された第46回全日本パワーリフティング選手権大会。83kg級に出場した荒川さんはスクワット290kg、ベンチプレス210kg、デッドリフト302.5kgという成績をはじき出した。3種目のトータル重量では3位、デッドリフトは日本記録を更新。練習では260kgまでしか持っていなかったものの、それよりも40kg以上も重たい重量をクリアしてみせた。

全日本パワーリフティング選手権大会での試技(以下同)

「『アイアンマン』というトレーニングを扱う雑誌の編集長だから(パワーリフティングを)やっている、というのではないんです。20年以上(トレーニングを)やっていますし、昔から取り組んでいることを今もやっている、という感覚です」

編集長という大役を務めながらも競技でもしっかりと結果を出している荒川さん。“鉄人”がここにいた。

文/藤本かずまさ
写真/柳沢由紀子